
2025年7月22日号 (通算25-08号)
HAL農業賞受賞者を交えての勉強会開催
2024年度に20回目のHAL農業賞贈呈式を行った。20年の歴史がある表彰制度になったのだ。かつては、それまでの受賞者を招いて贈呈式を開催していたが、コロナ禍の影響もあり、ここ数年は受賞者と少数のゲストのみで行っていた。
このHAL農業賞を受賞した経営者の経験をさらに広めるために、今年度から試験的に「HAL農業賞受賞者の声を聞く勉強会」を開催することとし、その1回目を名寄市風連で6月25日に開催した。
会場となった、風連もち米の里は道の駅「もち米の里☆なよろ」の旧建物で、第1回HAL農業賞地域特別賞を受賞した(株)もち米の里 ふうれん特産館の社屋でもある。今回、この勉強会の趣旨に賛同し、会場を使わせていただいた。
話題提供者には、もち米の里 ふうれん特産館の堀江さん、また第6回HAL農業賞チャレンジ賞を受賞した中富良野町、天心農場の北川さんも駆けつけてくれた。

午後2時から開催予定であったが、参加者が集まった1時半から勉強会を開催。今回は道北地方を中心に名寄市5名、旭川市1名、北広島市1名、当麻町2名、雨竜町1名、中富良野町1名、小平町1名、合計12名の参加があった。


始めに、筆者(HAL財団 上野貴之)から「今年の春からの営農状況。困ったこと、良かったこと」について参加者に発言を求めた。この手の勉強会では、話を聞くだけで発言の機会をなかなか作ることができない場合が多いが、10名程度であれば全員が何かしら発言することができる。そこが大きな狙いの一つでもあった。様々な発言が出てきたが、特に参加者の多くが語ったのが、今年の春はなかなか気温が上がらず、大型連休の最中にも雪が降るなど、春先の作業がずいぶんと遅れ、あるいは大変な状況だったことだ。
今回の勉強会は、特定のテーマを設けずに、HAL農業賞受賞者の経験を聞き、あるいは参加者の発言をもとにみんなでディスカッションを進めていく方法で行った。農業資材の話や防除の方法、あるいは植え付けの技術的な課題にまで話が及び、質疑応答が常に飛び交う活気あふれる勉強会となった。
参加者の声を拾うと
Hさん(名寄市):同じ地域に住んでいても、それぞれの営農の実際を今まで知る機会はなく、非常に勉強になった。
特に、新しい資材の使い方に関しては、若い人はすべて教えあっているのが驚きだった。私たちの世代では、失敗すると隠す、成功すると教えないのが普通だったが、今の若い世代は失敗も成功もみんなで共有している。これは力強い農業につながると思った。
Kさん(名寄市):今まで感覚で理解していた言葉を科学的根拠で理解することができた。多くの経験を持っている人の声はとても貴重だった。また、諸先輩の農業技術に対しての真摯な姿は、これまで経験したことのないレベルで驚いたが、ぜひ自分でも取り入れていきたいと思った。特に株間を1㎝単位で考え、実践していることは衝撃だった。
勉強会を終え、名寄市内の焼肉店で懇親会を開催したが、全員が車で来ているため、ノンアルコールでの会食だった。それにも関わらず、夕刻5時半から夜9時まで大いに語らい、真剣に情報交換が繰り広げられていた。

HAL財団では、HAL農業賞受賞者を話題提供者とした小さな勉強会を開催いたします。ご希望がありましたら、HAL財団企画室までお寄せください。
(取材・記事:企画室 上野)
取材協力
(株)もち米の里 ふうれん特産館 URL:https://mochigome.jp/