2026年1月13日号
通算25-19号
「先輩が語る!新規就農セミナー」開催
2025年12月6日(土) TKP札幌ビジネスセンター赤れんが前にて、「先輩が語る!新規就農セミナー」が開催された。会場には21名の新規就農を目指す方々が集まり、オンラインでも49名の参加があった。農林水産省経営局就農・女性課の加藤経営専門官からオンラインではあったが新規就農に関する情報提供があり、農林水産省の施策の具体的な説明があった。その後、新規就農経験者である6名の発表者から就農に至った経緯や就農してよかったことや苦労したことなどの話があった。
まったく農業と関わりのない職種からの就農はもちろん、親元へのUターン就農など、発表者の経歴も就農の仕方も様々で、色々な角度からの話が参加者に向けて発表された。
石狩市で石狩みのりファームを営む佐々木洋実(ささき ひろみ)さんは、農業とは関係ない職種だったが、子育てをきっかけに、転職を決意。その際に、「長くできる」「独立できる」「ものづくり」の3本の軸で考えたところ農業に行き着き、さらに実家が農家でなくても就農できることを知り、農業に従事することにしたという。縁のあった北広島市の農家から石狩市のミニトマト農家を紹介してもらい、2年間の研修後に第三者継承。現在は、ハウス14棟で主にミニトマトを栽培、規格外のトマトを有効活用して、ジェラートを製造するなど、6次化に挑んでいるところだ。
江別市の川合弘峰(かわい ひろみね)さんも、佐々木さんと同じく農業とは関係ない職種からの新規就農だ。道央農業振興公社にて研修を受けた後に、研修先の指導農家の農地を第三者継承。ハウス8棟で、きゅうり、アスパラなどを栽培している。佐々木さんも川合さんも、農業とは関係ない分野からの新規参入であり農地を第三者継承している点は同じだ。佐々木さんは、特に問題なく継承が進んだということだが、川合さんは少し苦労したという。農地の継承はスムーズに進んだが、農機具などの物品資産に関しては困難を感じたという。継承する際には、口約束ではなくできればこの問題に詳しい第三者も交えて話を進め、契約を結ぶべきだというアドバイスがあった。賃貸なのか譲渡なのかなど、細かく綿密な契約をすることが重要だ。

赤井川村の栁澤明(やなぎさわ あきら)さんはそれまで会社員だったが、大阪で開催された就農フェアを訪れたことをきっかけに、就農を決意。出身が北海道だったため、北海道で就農場所を探していたところ、研修制度が整っていた赤井川村を選んだ。赤井川村はJAと村が連携して、対象者に合わせた研修プログラムを2年にわたり行う制度があるのだ。栁澤さんは、1年目は複数の生産者を回り、トルコギキョウ、ブロッコリー、カボチャなどの栽培の基礎を学び、2年目は希望したパプリカとミニトマトの実習を受講。この研修の中で、多くの農家の方々と知り合い、分からないことや不安なことを相談できるようになったことが良かったそうだ。
平取町の平松隆大(ひらまつ たかひろ)さんも会社員をしていたが、仕事・家事・育児をバランスよく実現できるのが農業でないかとの考えに至ったという。そんな時に、以前旅行で赴いた時に聞いた平取町での新規就農の話を思い出し、平取町を訪問。そこで、その後の研修を受け入れてくれる親方夫婦と出会い、様々な話を聞くことで、就農が具体的になったそうだ。平取町は新規就農者の受入実績が20年以上あり、また受入件数も数多くあることから、サポートも充実しており、不安なく就農できたとのことだ。就農を考えているなら、まずは現地に行って生の声を聞き、生産物のことはもちろん、研修やサポート体制についても話を聞くことが大事と話していた。

美唄市の大友翔平(おおとも しょうへい)さんは、実家が農家で、化学メーカーに10年勤めてから、親元で就農を決意。コロナ禍に食料の大切さについて考えたこと、また、父親の年齢や営農技術を学ぶ時間を考慮して、30歳のタイミングで就農した。いざ就農してみると、自分自身が育った家ではあるが、農業技術が大きく向上していたことに驚いたという。しかし、生産技術が進歩しているにもかかわらず、勘やコツなどに頼る部分もあり、技術伝承の難しさを実感。その農業技術をできるだけ数値化し、再現性や効率を上げる努力をしている最中だ。
白老町の曽我司(そが つかさ)さんも、親元就農組の一人だ。しかし、親元といっても曽我さんの祖父が創業した牧場を継いだのである。実家が農業というのとは、少々違いがある。東海地方の大学院でスポーツに関する研究に励んでいたが、祖父が急逝したため牧場を継ぐことを決意。牧場での仕事はもちろん、経営ということもまったくの素人だったのだ。そのため右も左もわからない状態であったが、周囲の支援、学ぶことを大事にし、現在は経営者として奮闘している。

六者それぞれの立場から、新規就農の経験談が繰り広げられた。しかし、そこには一つの共通点があった。それは、農業は自分のアイディア次第でなんでもできるということだ。ただそれは裏を返せば、すべて自分に跳ね返ってくるということでもある。大友さんは、自分のやりたいことを具体的にイメージしてそこから逆算して必要な設備や機械、土地、資金などを考え、行動していくことが大事と話していた。
また、農業は一人の力では続けていくことができない。家族や地域の方々はもちろんのこと、様々な人とコミュニケーションを取ることで、多くの方々に助けられ、農業を続けていると話す。自分たちが助けられた分、今後は新規就農の後輩たちを助けたいとのこと。新規就農を目指す方々も、わからないことなどは、先輩にどんどん聞いていくことが大切なのだ。
(記事:総務部 山京)






