2026年3月10日号
通算25-24号
〈とかちパン王国〉を目指して
*今回の「WEB版HALだより」は、2年前から大変好評だった、農業とは縁のなかった写真家・藤田一咲(いっさく)さんに、北海道農業の現場を見てもらい話を聞く企画です。2025年も3カ所の現場に足を運んでいただきました。今回はその3カ所目。前回までと同様にHAL財団・上野貴之が聞き手となる対談形式でお届けします。私は敬愛の気持ちから、今年も一咲さんと呼ばせていただきます。
(HAL財団 企画室 上野貴之)
◇午前6時55分オープン
★一咲:おはようございます!
上野さん、今はまだ午前6時30分ですよ。今日はずいぶん朝早くに出発する取材ですね。
●上野:おはようございます! これからパンを食べに行きます。
★一咲:いいですね、まずは腹ごしらえですね!
●上野:いいえ、お仕事ですよ。
★一咲:パンを食べる取材は大歓迎です! でもこんな早朝に? そこは帯広駅前から車で何時間もかかるのですか?
●上野:いいえ、10分ほどです。パン屋です。
★一咲:朝の7時前にパン屋に行って取材ですか?
●上野:はい。私たちの到着をお店の開店時間の6時55分に間に合わせたのです。
★一咲:ずいぶん早いような気もしますが、まるでフランスのブーランジェリー(日本語でパン屋の意味)並みですね。
●上野:フランスのパン屋も朝7時頃に開店するんですね。一咲さんが住んでいたパリも同じですか?
★一咲:フランスのパン屋の開店時間は午前7時〜8時頃。朝の通勤・通学に合わせて、早い時間から店は開きます。パリでは6時頃に開いているお店もあります。
●上野:それは朝食の時間帯にパンを提供するためでしょう。朝一番の焼き立てのパンは格別に美味しいですから。私も朝の焼きたてパンが大好きです。
フランス人にとって、やはりパンは日本の主食「ご飯」のような存在ですか?
★一咲:日本ではそのように言われることが少なくありませんが、パンは主食とはちょっと違うようです。フランス人には「主食」という概念はないと思います。というのは、ご飯(お米)はおかずを食べるための主食ですが、パンは肉や野菜を食べるためにあるわけではないからです。パンは主食ではないのですが、食事には欠かせないものですね。
●上野:でも朝にはバゲット、私たちがフランスパンと呼んでいる細長い棒状のパンは食べますよね?
★一咲:はい。バゲットにバター、ジャムを塗ったタルティーヌと呼ばれるものがフランス人の朝食の定番ですね。バゲットの他にパン・ド・カンパーニュ(日本語で田舎パンの意味。ライ麦や全粒粉を配合して作られる素朴なハード系パン)や、週末にはクロワッサンなども。基本的に毎日同じようなシンプルなパンを食べています。
●上野:さあ、着きました。十勝でパンといえば「ますやパン」[株式会社満寿屋商店(本社帯広市。社長は杉山雅則(すぎやま まさのり)さん]。ここはそのフラッグシップ店「麦音(むぎおと)」(帯広市稲田町)です。
★一咲:まだ開店前なのに駐車場もいっぱいで、お店の前は開店待ちのお客さんで行列になっていますね!


満寿屋商店のフラッグシップ店「麦音」の店舗入り口。朝6時55分に開店します。店内には焼きたてのパン約100種類が並び、香ばしいパンの匂いに包まれます。
◇世界一敷地面積が広いパン屋
●上野:満寿屋商店の店舗は麦音の他に、本店、ボヌール、音更(おとふけ)店、トラントラン、めむろ窯、みちますの店舗を展開。ここはもっとも大きい店舗で、パン売場の他に購入したパンを食べられるイートインスペースやテラスなども併設。その敷地面積はおよそ約3,600坪、12,000平方メートル。東京ドーム約1個分に近い広さです。この広さは日本一! 世界トップクラスの敷地の広いパン屋と言っていいでしょう。店内には焼きたてのパンが約100種類ほど並びます。小さい子どもが遊べるスペースや、ペット連れには嬉しい、犬をリードで繋いでおけるスペースなども用意されている。
★一咲:さすがは北海道! スケールが大きいですね! こんなに大きなパン屋はどこにも作れません。
北海道は小麦の生産量、作付け面積共に日本一。パンの消費量も日本一なのでしょうか?
●上野:特にここ満寿屋商店さんがある十勝地方は北海道の中でも一番多く小麦を生産しています。でも日本で一番多く小麦を作っているからといって、パンの生産量や消費量も日本一ではないのです。パンの消費量は、総務省の都道府県別パン消費量ランキングによると47都道府県中、京都府が日本一。続いて兵庫県。岡山県と続いて、東京都は第17位。北海道は第38位です。また小麦にも種類があって、全ての小麦でパンが作れるわけではないのです。
★一咲:え、えええ! 小麦はみんな同じではなかったのですね。
●上野:もうどこまで農業を知らないんですか… 。うどん、パスタ、ラーメンの原料は何かは知っていますね?
★一咲:うどんは白いからお米。パスタとラーメンは黄色っぽいから小麦?
●上野:うどんもパスタもラーメンも主な原料は小麦。うどんとラーメンは中力粉。うどんとラーメンは使う水の種類が異なります(うどんは塩水、ラーメンはアルカリ塩水溶液)。パスタは強力粉。
ちなみに世界初のインスタントラーメン(1958年)は日本発祥です。小麦を原料とした食品はパンだけではなく、麺類、ケーキ、菓子など様々な食品に使われている。日本人の食べる小麦粉食品の種類は世界で最も多いと考えられています。
★一咲:うどんはうどん粉だと思ってた。小麦粉に中力粉、強力粉の種類があるのは知らなかったです。
●上野:一咲さんは料理をしないからなあ。小麦粉の種類は主に薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉の4種類。これはたんぱく質(グルテン)の含有量によって分類されたもの。パン作りに適した小麦は中力粉、準強力粉、強力粉。
★一咲:粉で小麦の名前付けをしないで、分かりやすく「薄力小麦」「強力小麦」とかにして欲しい。
●上野:これは小麦「粉」の種類。小麦の種類は3種類。「硬質小麦」「中間質小麦」「軟質小麦」。胚乳の硬さによって分類される。硬質小麦は強力粉、準強力粉の、中間質小麦は中力粉、軟質小麦は薄力粉の原料になる。胚乳は小麦の粒の約83%を占める、小麦が成長するときに必要な栄養分となる部分。主な成分はデンプンとタンパク質。この胚乳部分を製粉したものが小麦粉になる。
また小麦は春に畑に種をまく「春まき小麦」と、秋に畑に種をまく「秋まき小麦」がある。春まき小麦はタンパク質の含有量が高く、パン用に向いており、北海道産小麦の豊かな風味、強い伸弾性、モチモチ感、引きの強い食感が楽しめる。春まきの代表的な品種に「春よ恋」(強力粉)、「はるきらり」(強力粉)、秋まきに「キタノカオリ」(強力粉)「きたほなみ」(中力粉)「ゆめちから」(超強力粉)などがある。
★一咲:小麦と一口で言っても、パン用だけでもいろいろな種類があるんですね。
●上野:それぞれパンになると食感が変わってくる。満寿屋商店ではこれら十勝産の小麦100%を使って、それぞれの食感を生かしたパンを作っている。
★一咲:むむむ、こだわりですね!

麦音の広大な敷地内には焼きたてのパンが食べられるイートインスペースの他、オシャレなテラスも用意されています。ときどきリスが走り回る光景が見られる、十勝の自然に囲まれたテラス席で食べるパンの味は格別です。
◇農家のおやつ
★一咲:満寿屋商店はかなり早い時代からパン作りをされていたのでしょうか?
ますやパンがここまで地域住民の生活に深く根付いた愛着のある食べ物、つまり十勝のソウルフードになるほど広まったのはなぜでしょう? 十勝の人は昔から朝食にパンを食べる習慣があったとか?
●上野:満寿屋商店の創業は1950(昭和25)年。2025年時点では75年も前。この年は6月に朝鮮戦争が勃発して日本の経済が「特需景気」へ転換した節目の年です。電気洗濯機が登場し始めた年です。そもそも、日本人のパンの消費量は外国人と接する機会が多くなった明治から大正、昭和へと増え続けましたが、それでも1937(昭和12)年頃でも、食パンに換算して1人当たり1年間に4斤。
★一咲:当時と現代では1斤の重さは異なると思いますが、大雑把に言うと1斤は6枚とか8枚にスライスして売られている四角いパン(いわゆる食パン)だから、1年でスーパーマーケットの食パン4袋ですか?
●上野:パン食の習慣がなかった日本人の食生活にパンが広まったのは、第二次世界大戦後の食料不足時代に食べたコッペパンや学校給食で出されたパンによってです。
★一咲:朝食にパン、という時代ではないですね。かなり早い時代にパンを売るビジネスに目を付けた満寿屋商店の創業者の先見の明は素晴らしい! 十勝の人はますやパンをどのように食べていたのでしょう?
●上野:ますやパンは農家のおやつでした。十勝は畑が広大ですから、食事の度に家に戻るのは非効率ですし大変です。そこであんパンやドーナツが重宝されたのです。それが多くの人に親しまれ十勝全域に広がったのです。
でも当時は十勝で生産される小麦は、ほとんどがうどん・菓子用、つまり軟質・中間質小麦、薄力粉や中力粉。パン用の小麦、硬質・高タンパクの品種はないようなものでした。海外から輸入した小麦でパンを作るのが当たり前の時代だったのです。
★一咲:十勝地方は食料自給率はカロリーベースで1,100〜1,300%と驚異の数字を聞いたことがあります。当時も十勝では小麦畑が広がっていたでしょう? なぜパン用小麦が作られなかったのか。何だかもったいない。
●上野:そこで満寿屋を営む2代目社長が「目の前に広がる十勝の小麦でパンを作りたい」と思ったのが、十勝産小麦100%を使ったパン作りのきっかけだったのです。
★一咲:今でも国内産のパン用小麦の生産量は十分だとは思えませんが、その想いを実現させるのは簡単ではなさそうですね。
●上野:満寿屋商店は創業時から地元産食材にこだわっていたそうですが、2代目社長の十勝産小麦でパンを、という熱い想いはその後息子たちに受け継がれ、4代目(現社長)になって、1987年、日本で初めて北海道産小麦の「ハルユタカ」を使用したパンを世に送り出しました。実に10年以上の月日がたっていました。自然相手ですから一朝一夕ではできない小麦粉の開発を待つしかなかったのです。2006年になって、寒冷地向けに開発され、他品種とのブレンド性にも優れる、秋まき小麦キタノカオリが登場。そして十勝産小麦100%を使用した麦音の開店は2009年。2012年には全店全種類のパンに十勝産小麦100%を使用しています。
★一咲:そこまで長い年月諦めない精神は、北海道の開拓者魂に通じるものがありそうです。
●上野:満寿屋商店では、使用する十勝産の小麦の製粉も地元で行っています。
★一咲:小麦作りだけではなく、小麦「粉」作りまでこだわっているのはすごい! でも、いくら十勝地方に大きく展開しているパン屋だとしても、1社の製粉量としては決して多くはなさそうですが。
●上野:はい。それでも引き受けてくれる製粉会社はあるのです。十勝を愛し、盛り上げてくれる心強い存在。株式会社山本忠信商店(ヤマチュウ)「十勝★夢mill製粉工場」です。
★一咲:これはまた製粉工場っぽくないネーミングがいいですね。
●上野:地元で製粉すれば鮮度もいいですし、地元の小麦のこともよく分かっていますからね。
★一咲:きめの細かいヤマチュウの対応が嬉しいですね。
●上野:ちなみに2021年度の満寿屋商店の十勝産小麦粉使用量は251トン(食パン約966,000斤分)。今はもっと増えています。
小麦のこだわりは食材だけではなく、食べていただく消費者にも小麦をもっと理解してもらおうと、麦音の敷地内に小麦畑を作り、農業高校の生徒さんと一緒に育てています。
★一咲:世代を超えた交流は地域との繋がりをより強くしますね。
●上野:また種まき・収穫・帯広ばんえい競馬のばんば(最大1トン以上にもなる重いソリをひいて走る体重1トン前後の大型の馬)で畑を耕す馬耕も体験できます。子ども向けパン教室や父の日のピザ作りなども。地域の人たちに小麦と接してもらい理解を深めることもしています。
★一咲:食育もしっかりされているんですね。そしてここはテーマパークみたいですね。
●上野:地域活性化にも繋がっています。
★一咲:これはとても大切なことですね。


麦音の敷地内には小麦畑もあり、社員と共に地元の農業高校、北海道帯広農業高等学校の生徒さんと一緒に育てています。ここではパンを買いに来たお客さんが刈取体験をすることもできます。


麦音の小麦畑で刈り取られ、次々に竿にかけられ干されている小麦。これが美味しいパンになります。パン作りの現場の人が小麦作りを体験するのは、小麦への理解がより深まります。


北海道内ではヤマチュウの愛称で親しまれている株式会社山本忠信商店の製粉工場「十勝★夢mill製粉工場」(音更町)。竣工は2011年7月。十勝初のロール式製粉工場です。4階建てで最新鋭の製粉機が稼働しています。お話を玉江宇臣さんにお伺いしました。
◇こだわりの地元産食材
●上野:こだわっているのは小麦だけではありません。その他の食材も十勝産を積極的に使っている。たとえば、一咲さんが今食べている黒豆塩バターパンの黒豆、リーキ(西洋ネギ)のパンやリーキスープのネギも地元産です。
★一咲:この黒豆は大きくて美味しい! 丁寧に煮込まれていて黒豆の濃厚な甘み、香ばしい小麦の風味と、塩バターの塩味とのハーモニーが絶妙です。リーキパンもリーキスープも初めていただいていますが、これもとても美味しい!
●上野:リーキはフランスではスープにも使われるそうですが。
★一咲:上野さんがフランスのリーキスープ、リーキのポタージュと言われるので、ちょっと恥ずかしかったのですが、何のことかわかりませんでした。
●上野:えええ? 実はフランスにはネギのスープはないとか?
★一咲:いえいえ、リーキは英語ですね。フランス語ではネギはポワロなのです。ポタージュにする時はジャガイモを一緒に使うと思います。麦音のリーキパン、リーキスープは、トロッとした食感で、加熱したネギ特有の辛味がなく、上品な甘さがあり美味しい。十勝産のタマネギやニンニクを加えてもいいかもしれません。
●上野:黒豆やリーキだけではありません。その他にも、パンに使うサツマイモや小豆、砂糖[甜菜(てんさい)類]、水や牛乳、卵やバター、チーズ、クリーム、酵母(とかち野酵母)、牛肉も地元十勝産です。
★一咲:水までですか! そこまでこだわりますか? 徹底した地産地消ですね!そんな地元の食材で作られたパンは地元の人なら当然、観光客でも食べたくなります。
●上野:地元の生産者が作った食材で、パンを作り、生産者を含め地元の人に美味しく食べてもらう。
★一咲:生産者が自分の作ったものが食べられるのは、ぼくが想像する以上に大切な部分があるようですね。
●上野:それはそうでしょう。自分が作ったものが、どこでどのように出されているのかわからないのは生産者として寂しいものです。自分が作ったものが製品となって、それを口にすることで「味」や「価値」を感じることにつながる。
★一咲:地元の食材で最終製品になる。これは十勝でしかできないことかもしれません。地元の食材の魅力を知ることは、地元の農業を守り、地域の発展へとつながりますね。
●上野:そうです。杉山雅則社長は農林水産省から地産地消への取り組みの推進に貢献した人材に贈られる「地産地消の仕事人」(平成23年度)に認定、受賞しました。
麦音のこだわりは食材だけに留まりませんよ。麦音にあるパンを焼くための石窯(めむろ窯)の燃料も、十勝産木質ペレットを使用している。
★一咲:そこまでしますか! 木質ペレットは製材工場の端材、おが粉などを乾燥・粉砕した木質燃料ですね?
●上野:そうです。木質ペレットは接着剤を使わない天然由来100%木材で構成されており、燃焼効率が高く、二酸化炭素の排出が極めて少ない環境に優しい「再生可能エネルギー」。また細かい点ですが、エコバックの推進やパンを乗せるための紙の削減などにも取り組んでいる。
★一咲:環境への配慮もとてもしっかりしていますね。

麦音で販売されているパン。クロワッサン、バケット、クリームパンなどホンの一部。全て十勝産の小麦粉を使っています。焼きたてのパンの香りは最高。幸せを感じさせます。

麦音の天方(あまがた)慎治シェフ。十勝で開発されたパン用小麦「キタノカオリ」を使用したパン「オドゥブレ十勝」誕生にも貢献しました。




麦音の人気商品の一つ、黒豆の塩バターパン。しっとりした生地に柔らかい、でもしっかり豆らしい食感が残り、甘味が染み込んだ黒豆。もちもち生地にバターの塩味と黒豆の甘さが特徴になっています。黒豆を作っているのは、帯広郊外の外山(とやま)農場さん。磨き作業を入れなくても、キラキラと黒真珠のような輝きを放っています。



麦音でいただいたフランスパンを添えたリーキ(西洋ネギ)スープとリーキパン。使われているリーキを生産しているのは、たけなかファーム(竹中農場)さん(音更町)。リーキは一般的な白ネギ(長ネギ、根深ネギ)よりも太く、甘みが強く、加熱するとトロトロになるのが特徴。こんなに太いネギを見るのは初めてでした。寒暖の差の激しい十勝で鍛えられた野菜は美味しさが一味違うのだとか。取材の日も、突然の吹雪に見舞われました。
◇とかちパン王国実現を目指して
●上野:麦音は満寿屋商店初代の豊富な十勝産食材の使用に続き、2代目から始まる十勝産小麦の100%使用の夢を実現したパン屋なのです。
★一咲:先代の意思を引き継ぎ、十勝にこだわった、地元十勝愛が素晴らしい!
●上野:十勝愛! 一咲さんならきっとそう言うと思った。
★一咲:今年の取材先もどこにも言えることですが、消費者に「食べてもらって美味しい!」と言ってもらえることが嬉しい! だから美味しいものを作る。生産者の顔が見えるような製品作り。地元の人々と一緒になって、環境になるべく負荷をかけずに、地元や社会を食を通して元気にする。しかも、それを今までずっと続けてきて、これからも未来を見据えて続けていくという、その取り組みの姿勢が本当に素晴らしい。生産者との繋がりもできそうでなかなか難しそう。お互いに十勝産で美味しいものづくりを目指し、十勝を盛り上げたいという想いがあるからできるわけで。これはやっぱり愛です。
●上野:麦音を始め、これからも満寿屋商店のパンは地元産の食材にこだわってパン作りを続けていくでしょう。それは恵みの大地や、生産者農家の方々への感謝の気持ちの表れでもある。
杉山現社長は、消費者・農家・パン屋の全員がパンを通して幸せになれる地域を作りたいと、2030年の〈とかちパン王国〉樹立を目指しています。
★一咲:十勝はもうすでにパン王国になっていると思いますが、それはとても楽しみです。
●上野:そのためには、これまで以上に地域全体・十勝全体での取り組みがとても重要になってくる。
★一咲:何かまだやり残した課題はあるのでしょうか?
●上野:十勝産小麦そのものの魅力をもっともっと広め知ってもらう。そのために、パンの新しい食べ方を開発・提案する。「十勝パン」を生み出してブランド化する。麦音は敷地を広くし、施設を充実。現状年間30万人から100万人の来場を目指す。パンの調理学校創設、さまざまなイベントを企画・催行するなど、いろいろなアイデアがあるようです。
★一咲:それは十勝の農業の価値も高めますね。
●上野:一咲さんもここに来るまで十勝産のパンを食べたことはないでしょう?
★一咲:十勝産はもちろん、北海道産のパンというもの自体を知りませんでした。麦音の、十勝産小麦で作られたパンは、しっかりとしていながら、もちもちした食感は生まれて初めての体験でした。十勝に満寿屋のパンを食べるためだけに訪れる。満寿屋のパンにはそんな気にさせる魅力があります。
●上野:一つのパン屋が地域と共に大きく発展して行く。農業の未来の活路は意外とこんなところにあるのかもしれない。
※:満寿屋商店は、地元農業者と連携し、地域と一体となった経営を実施している点を高く評価し2025年第20回「HAL農業賞 優秀賞 地域連携企業賞」として表された。


満寿屋商店は本店、麦音の他、ボヌール、音更(おとふけ)店、トラントラン、めむろ窯、みちますの店舗があります。全店舗で十勝産小麦を使用。めむろ窯では十勝産小麦のピザを焼いています。

満寿屋商店4代目の現社長杉山雅則さん。自ら麦音の小麦畑で刈り取りをし社員を指導されていました。小麦畑に一番近いパン屋さんの主という感じ。<とかちパン王国>の実現に向けて今日も色々とアイデアを練っていることでしょう。
藤田一咲(ふじた いっさく)
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、ロンドン、パリなどの世界の都市から、ボルネオの熱帯雨林、
アフリカの砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com
写真:ISSAQUE FOUJITA






