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小学校農業科等取り組み状況

蘭越町 「米プロジェクト」~人がかがやき、米と文化が実る町・蘭越の農業科~

日本海とニセコ連峰に抱かれた蘭越町は、清らかな水と肥沃な大地に恵まれ、良食味米として広く知られている「らんこし米」が生産されています。地域の宝である「らんこし米」を教育に最大限に活用した取り組みとして、蘭越小学校、昆布小学校で推進し、蘭越町教育委員会が支援しているのが「米プロジェクト」です。

このプロジェクトは、単なる農業体験にとどまらず、地域の歴史・文化・自然環境を総合的に学ぶ教育活動です。町の基幹産業である農業・米を題材に、子どもたち一人ひとりが体験を通して課題をもち、調べ、まとめる、探求的な学習として進めています。

活動は春の田植えに始まり、夏の除草や観察、秋の稲刈り・収穫へと続きます。収穫されたお米の一部は学校給食で提供され、みんなで味わうことで学びが日常生活と深く結びつくとともに、町が主催する“米-1グランプリ”にも出品し、地域とのつながりも深めています。

9月12日に蘭越小学校5年生による稲刈り授業が行われました。子どもたちは、農業を営む野口さんの指導のもと、鎌を手に取り、丁寧に稲を刈り取りました。汗を流しながら収穫の喜びを味わい、自然の恵みを肌で感じながら、田んぼの風景の中でふるさとの魅力を再発見する時間となりました。

このプロジェクトは、野口さんをはじめとする地元農家の皆さん、そして地域の方々と学校が双方向で子どもたちの豊かな成長を支える「地学協働」を推進する徳光さんによるコミュニティ・スクールと一体的に進めています。子どもたちは「らんこし米」を育てる過程で、他の生きものや人、地域とのつながりを体感し、共助の精神、感謝の気持ち、そして謙虚な心を育んでいきます。

「らんこし米」は単なる特産品ではなく、地域そのものの象徴です。ふるさとの大地に触れ、育み、味わい、語り継ぐーこのプロジェクトは、子どもたちが「らんこし米」を学びながらふるさとの農業への愛着と地域への誇りを深め、命のつながりを通して生きる力を育む、かけがえのない農業科授業となっています。

野口さん(左側)と徳光推進員(右側)からお話を聞きます
野口さんから刈り方を学びます
稲刈りのスタートです
丁寧に刈り取っていきます
どんどん刈り進みます
みんなで刈り取った後の落穂を拾います
野口さんから米-1グランプリへの出品のお話を聞きます
蘭越町観光物産協会の“らんこし米”Tシャツ
この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/dietary_education/elementary_school/3015/