東川町 ~地域と世界がつながる学び~ 「Globe」が育む子どもの豊かな心と未来
東川町では、教育委員会を中心に、幼児から高校生まで一貫して「ふるさと東川を愛する心情を高め、人間尊重を基調とする国際化を養い、国際社会に適用するコミュニケーション能力を育成する」独自の教育プログラム「Globe(グローブ)」を推進しています。
この取り組みは、文部科学省から教育課程特例校の指定を受けており、「ローカル」「グローバル」「コミュニケーション」の3要素で構成された東川町オリジナルの創設教科です。
・ローカル(地域理解):自国や地域の文化・伝統に根ざした自己の確立を図ります。
・グローバル(国際理解):多様な文化を受容し、共に生きる姿勢を育みます。
・コミュニケーション(対話力・表現力):文化の異なる人々との英語をツールとしたグローバル社会で求められる円滑なコミュニケーション能力を育てます。
「ローカル」では、農家や家具職人、写真家をゲストティーチャーに位置付け、「ふるさと東川」の暮らしや文化を題材にした探求型の学習を展開しています。
その一環として、小学5年生と中学1年生は、学校に隣接する「東川ゆめ公園」の体験農園で、年間を通して作物を育てながら、「育てること」、「食べること」、「伝えること」の意味を深く体感します。
10月3日、秋晴れの空の下、東川小学校と東川第二小学校の5年生による稲刈り授業が行われました。地域で農業を営む「田んぼの先生」青木さんの指導のもと、子どもたちは、黄金色に実った稲を一束ずつ丁寧に刈り取りながら、春に植えた苗が季節を越えて実を結ぶ過程を自らの手で確かめました。
この活動を通じて、子どもたちは、東川の米づくりや食の豊かさを実感するとともに、様々な国の食文化にも目を向けることで、改めてふるさとの魅力に気づき、地域への誇りと農業への愛着を深めていきます。さらに、自然とのつながりや、他の生きものに支えられて生きていることを肌で感じる中で、人やいのち、他の生きものを大切にする心も自然と育まれていくことでしょう。
また、この取り組みに関わる地域の人たちにとっても、子どもたちとの交流は、自らの暮らしや仕事を見つめ直す機会となり、農業や地域・文化の価値を再認識することになると思います。
そして、中学生になると、“東川”ならではの食文化を学ぶ「LOCAL’S TABLE(ローカルズテーブル)」の授業が始まります。1年生では町内の生産者から食材について学び、2年生では料理の作り手から素材を活かす工夫や知恵を教わります。3年生になると、料理の完成形やテーブルマナーを学びながら、「思いやりのルール」を通して、言葉にしなくても伝わる「気遣い」の心を育んでいきます。
この「LOCAL’S TABLE」で大切にしているのは、「いただきます」「ごちそうさま」という言葉に込められた感謝の心です。「いただきます」は、食材の命を自分の命にいただくことへの感謝の言葉であり、自然の恵みや食の生産に関わった人々への敬意が込められています。「ごちそうさま」は、「馳走(ちそう)」という言葉に由来し、食材を集め、調理し、もてなしてくれた人々の奔走に対する感謝の気持ちを表しています。日々の食事の中で、この二つの言葉を丁寧に伝えることは、食べ物や人への敬意を育み、まわりへの思いやりや社会性を育ててくれます。
このように「Globe」は、小学生からの作物栽培体験と中学生の「LOCAL’S TABLE」等の学びを通して、子どもたちの豊かな心を育み、自然や異なる文化、価値観を尊重する姿勢を育てます。そして、地域に根ざしながら世界へと開かれていくこの教育は、子どもたちの自立と共生を促し、「生きる力」とともに、未来の社会を創造する夢と志を育む学びとなっています。
【2025.10.3 東川小学校・東川第二小学校の稲刈り授業】






稲刈りのスタートです


刈り取った稲を束ねていきます


どんどん刈り進んでいきます


【東川中学校のLOCAL’S TABLE(ローカルズテーブル)】(写真提供:東川町教育委員会)


