江別市立北光小学校 中村桂子さんが「北光祭」にて特別授業を実施
~あなたが生きものであることを学ぶ農業~
2025年12月12日(金)、JT生命誌研究館名誉館長であり、当財団の『小学校“農業科”教育イニシアティブ』共同代表でもある中村桂子さんが、江別市立北光小学校を訪れ、全校児童23名に向けて、『あなたが生きものであることを学ぶ農業』と題した特別授業を行いました。
北光小学校では、開校以前から40年以上にわたり、地域の方々とともに稲作を中心とした農耕体験学習を続けてきました。そして毎年、その成果を振り返る場として「北光祭」を開催する伝統があります。また、今年は開校40周年の節目にあたり、記念行事の一環として中村さんの特別授業が位置付けられました。
児童たちは、低学年から高学年まで、それぞれの学びや気づきを発表しました。低学年生は、田植えから脱穀まで年間を通じた農作業やとんぼやかえるなど他の生きものの様子、中学年生は今と昔の米作りの比較、高学年生は、稲が育つために必要な条件やこれからの農業について発表し、一人ひとりの言葉には熱がこもっていました。
中村さんは子どもたちの発表を受けて、生命誌絵巻を示しながら、「稲も人も細胞でできた“生きもの”であり、同じ仲間であること」「稲は“つくる”のではなく、“育てる”」「人間だけが持つ“みんなで一緒に食べる”という営みの意味」を語られました。
そして「みんなが住んでいるこの地域は自然も豊かでとても素敵な場所。みんなにとっては当たり前のことかもしれないが、世界では一緒に食べることができない人がいることも考えながら、この幸せなところでこれからも学び続けてほしい」と優しく語りかけ、児童や地域の皆さんは熱心に耳を傾けていました。
授業後には、収穫したもち米で児童・保護者・地域の皆さん全員が餅つきを行い、きな粉やチーズ、チョコレートをまぶしたお餅やお雑煮をみんなで分かち合いながら、収穫と学校の40周年を祝いました。児童から地域の協力者や中村さんに感謝状が贈られ、 伊藤校長からは「農耕学習は“いのち”の学習」とのお話がありました。さらに中村さんからは「たくさんのふしぎ」と題した“いのち”や“生きもの”をテーマとした絵本2冊が寄贈され、最後に全員で記念撮影をして「北光祭」を締めくくりました。
北光祭後、中村さんは「こうした教育を学校と地域の皆さんが一体となって長年にわたり取り組んでこられたことは貴重な財産。子どもたちは、農の営みを通じて生きる力を心で感じとり、自ずと身につける。農業こそ生きる力を学ぶ教育の原点であり、これからも頑張って続けてほしい」と期待を寄せられました。中村さんご自身にとっても、自らの提言を長年実践してきた北光小学校の皆さんとの出会いは、大きな意味があったように思います。
今回の特別授業は、開校40周年を迎える北光小学校の「北光祭」を彩る貴重な学びの場となり、子どもたちが農耕体験の意味を深く考えるきっかけとなりました。農業が“生きる力”や“助け合う心”といったもっとも大切なことを育む教育となることを改めて実感する場となりました。


開校40周年と農耕体験学習の掲示を見つめる中村さん


子どもたちと交流する中村さん




低学年生の「他の生きもの」についての発表





親子の息を合わせたお餅つき













