2025年10月23日号
通算25-号外08号
満員御礼! HAL農業賞受賞者の声を聞く
実需研修会開催
満員御礼!
実需研修会は、大好評につき定員に達しました。
また研修会を企画します。
ご応募、ありがとうございました。
今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。今回は、第20回HAL農業賞受賞者である福田農場が手がける「畑でお米チャレンジ」について実需者を交えた研修会です。
【開催概要】
| 日時: | 2025年12月18日(木)16:00~ |
|---|---|
| 場所: | ①大門福寿し(函館市松風町15-2) 16:00~18:00 ②近隣会議室 18:30~20:30 |
| 講師: | ①会場 第20回HAL農業賞受賞者 福田農場 福田 稔さん 函館寿し組合、北海道鮨同業会 理事 長谷川 憲さん ②会議室会場 乾田直播の技術動向 アサヒバイオサイクル(株) 真中 千明さん ほか参加者からの情報提供 |
| 内容: | ①会場 畑でお米チャレンジ米を利用した寿司を実演 寿司店経営者の視点での畑地での水稲品種米についてお話 各参加者からの質疑応答 ②会議室会場 2025年作付け状況の報告 |
| 費用: | 実際の飲食に伴う費用は参加者負担(15,000円程度になります) 旅費、宿泊に関する費用は参加者負担。 注)各自手配です。 |
【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
| 受付期間: | 2025年10月23日(木)~定員になるまで |
|---|---|
| 申し込み先: | HAL財団 |
| 受付メール: | ueno@hal.or.jp ★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。 |
| 定員: | 10名 |
| 対象: | 農業従事者 |
◇メディア対応について:会場の制約がありますので、11月20日(木)までに担当にご相談をお願いします。(オープンではありません)
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
2025年10月23日号
通算25-号外07号
満員御礼! HAL農業賞受賞者の声を聞く
石狩・空知地区勉強会開催
満員御礼!
石狩・空知地区勉強会は、大好評につき定員に達しました。
また勉強会を企画します。
ご応募、ありがとうございました。
今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。
また、今回は雪印種苗(株)のご協力のもと、緑肥に関しての最新情報の講習もあります。
【開催概要】
| 日時: | 2025年11月10日(月)13時受付 13:15ころから16:30ころまで |
|---|---|
| 場所: | ①雪印種苗(株) 長沼研究農場 13:15~15:30 ②ファーム花茶 15:45~16:30 ③江別市 調整中 |
| 内容: | ①雪印種苗から緑肥についての最新知見を ②HAL農業賞受賞企業からの「声」を 15:45~16:30 ③交流会(江別市) 17:30~ |
| 費用: | 研修会は無料 交流会参加費は実費負担になります |
【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
| 受付期間: | 2025年10月23日(木)~定員になるまで |
|---|---|
| 申し込み先: | HAL財団 |
| 受付メール: | ueno@hal.or.jp ★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。 |
| 定員: | 10名程度 |
| 対象: | 農業従事者 |
| 話題提供者: | 第8回HAL農業賞地域貢献賞 有限会社ほなみ 専務取締役 神馬 悟さん 第13回HAL農業賞 優秀賞 ファーム花茶 小栗 美恵さん 司会:HAL財団 企画室長 上野 貴之 |
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
2025年10月23日号
通算25-号外06号
HAL農業賞受賞者の声を聞く
実需研修会開催
今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。今回は、第20回HAL農業賞受賞者である福田農場が手がける「畑でお米チャレンジ」について実需者を交えた研修会です。
【開催概要】
| 日時: | 2025年12月18日(木)16:00~ |
|---|---|
| 場所: | ①大門福寿し(函館市松風町15-2) 16:00~18:00 ②近隣会議室 18:30~20:30 |
| 講師: | ①会場 第20回HAL農業賞受賞者 福田農場 福田 稔さん 函館寿し組合、北海道鮨同業会 理事 長谷川 憲さん ②会議室会場 乾田直播の技術動向 アサヒバイオサイクル(株) 真中 千明さん ほか参加者からの情報提供 |
| 内容: | ①会場 畑でお米チャレンジ米を利用した寿司を実演 寿司店経営者の視点での畑地での水稲品種米についてお話 各参加者からの質疑応答 ②会議室会場 2025年作付け状況の報告 |
| 費用: | 実際の飲食に伴う費用は参加者負担(15,000円程度になります) 旅費、宿泊に関する費用は参加者負担。 注)各自手配です。 |
【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
| 受付期間: | 2025年10月23日(木)~定員になるまで |
|---|---|
| 申し込み先: | HAL財団 |
| 受付メール: | ueno@hal.or.jp ★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。 |
| 定員: | 10名 |
| 対象: | 農業従事者 |
◇メディア対応について:会場の制約がありますので、11月20日(木)までに担当にご相談をお願いします。(オープンではありません)
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
2025年10月23日号
通算25-号外05号
HAL農業賞受賞者の声を聞く
石狩・空知地区勉強会開催
今までのHAL農業賞受賞者を招き、その経営のポイントを聞き、さらに今年の農業経営の状況、悩みを相談する勉強会を開催します。
また、今回は雪印種苗(株)のご協力のもと、緑肥に関しての最新情報の講習もあります。
【開催概要】
| 日時: | 2025年11月10日(月)13時受付 13:15ころから16:30ころまで |
|---|---|
| 場所: | ①雪印種苗(株) 長沼研究農場 13:15~15:30 ②ファーム花茶 15:45~16:30 ③江別市 調整中 |
| 内容: | ①雪印種苗から緑肥についての最新知見を ②HAL農業賞受賞企業からの「声」を 15:45~16:30 ③交流会(江別市) 17:30~ |
| 費用: | 研修会は無料 交流会参加費は実費負担になります |
【申し込み方法】
事前メールで受け付け(先着順)
| 受付期間: | 2025年10月23日(木)~定員になるまで |
|---|---|
| 申し込み先: | HAL財団 |
| 受付メール: | ueno@hal.or.jp ★お名前、所属(屋号、会社、団体)、ご住所、電話番号を記載の上、お申込みください。 |
| 定員: | 10名程度 |
| 対象: | 農業従事者 |
| 話題提供者: | 第8回HAL農業賞地域貢献賞 有限会社ほなみ 専務取締役 神馬 悟さん 第13回HAL農業賞 優秀賞 ファーム花茶 小栗 美恵さん 司会:HAL財団 企画室長 上野 貴之 |
札幌市中央区大通西11丁目4-22 第2大通藤井ビル4階
電話:011-233-0131
担当:企画室 上野
2025年10月14日号 (通算25-13号)
日本ダッタン新そば祭りへ
サッポロさとらんどにて、第20回日本ダッタン新そば祭りが開催されていたので、新そばを味わいに向かった。北海道ダッタンそばの会が主催し、道内の会員生産者が栽培、収穫したダッタンそばを楽しむことができる祭りなのだ。

もりそば、きのこそば、などの、そばはもちろんのこと、なんとダッタンそばを使ったあんかけ焼きそば、ザンギ、ガレットなどの販売も行われていた。

きのこそば

ダッタンそば粉を使ったガレット
その他にも、昔ながらの「石臼挽き」による製粉体験や、そば打ち体験などそばを楽しむための様々な催しがあった。

元々、ダッタンそばは、ポリフェノールの一種であるルチンの含有量が多く普通のそばと比べてもその量は約100倍にもなるという。しかし、従来の品種では子実に含まれるルチン分解酵素活性が強力であったため、食品製造工程で肝心なルチンの大部分が分解されてしまうという問題点があったのだ。そのうえ、ルチンが分解されてしまうと、分解により生成される「ケルセチン」が原因で、ダッタンそばが苦蕎麦(にがそば)と呼ばれてきたように強烈な苦みがあり、それゆえ広く普及してこなかったのだ。
苦みやルチンの分解は、特殊な加工等である程度抑えることは可能であったが、食感や風味の劣化、製造コスト等の問題があったため、苦味が弱くルチン分解活性の弱いダッタンソバの新品種の育成に期待が集まっていた。
農研機構は、苦味とルチン分解活性の極めて弱い系統「f3g162」に、収量性や成熟期等が優る標準品種「北海T8号」を交配した「満天きらり」を育成。ダッタンソバとしては交雑育種で育成されたはじめての品種が誕生した。
「満天きらり」は、食品中にルチンが多く残る一方で、苦みが弱く食味も良い。実際食べてみても、苦みはほとんど感じず、通常のそばと変わるところは感じられなかった。

満天きらりのチラシ(農研機構)
ダッタンそばの作付け面積は大部分を北海道が占めているが、中でも雄武町は1位の作付け面積を誇っている。平成27年度には、『ダッタンソバ「満天きらり」を用いた耕作放棄地解消と6次産業化事例』で、雄武町と(有)小林食品、(株)神門が、第13回産学官連携功労者表彰~つなげるイノベーション大賞~における農林水産大臣賞を受賞している。
受賞のポイントは、新品種の開発を契機として、産学連携によるコンソーシアムが結成され普及拡大を図ったこと、雄武町では平成26年度には132haの耕作放棄地が解消されたこと(平成23年の雄武町内工作放棄地の約4割に相当)、産地から麺や菓子等の製品が販売され、消費者がダッタンそば製品を手軽に購入できる状況となったこと、などである。
しかし、まだまだ広く普及しているとは言えないダッタンそば。抗酸化作用の強いルチンが豊富なのはもちろんのこと、ビタミンB群も含むなど、栄養価も高い。さらに、乾燥や寒さに強く、厳しい条件下でも栽培できるという強みもある。そば栽培をめぐる環境は、輸入品との価格差があるなど必ずしも良いとは言えないが、近年の国際情勢の影響によるそばの実の国際価格の上昇で、輸入そばとの価格差は小さくなってきており、国産そばの需要が一層高まることも予想されている。国産のダッタンそばの今後の普及に期待したい。
(記事:総務部 山京)
2025年9月30日号 (通算25-12号)
農を支える、農と歩むVol.01
農業現場に取材、調査に赴くと必ずと言っていいほど他社、他の団体の方との新たな出会いがある。今回から不定期ながらも「農を支える、農と歩む」と銘打って私が農業現場で出会った方、企業、団体を紹介していく。
初回は、十勝で出会った輸出に力を入れている企業だ。
2025年7月。十勝を訪れたのは台湾の製パン会社(パン屋さん、パン職人)の一行だ。彼らは、北海道産小麦の現場を視察に来たのだ。

(企業説明をする満寿屋商店社長 杉山さん)

(台湾からの参加者)
この研修ツアーを企画したのは、 エバリッチエンタープライズ有限会社(以下、エバリッチ社)CEOの東さん。会社の合言葉は「日本の美味しさを世界に」。シンプルで分かりやすい合言葉だ。現在は、その合言葉のもと、中国をはじめアジア諸国との連携を軸に食の楽しみを世界に拡げているそうだ。
1967年に創業したエバリッチ社は、台湾と日本の食を専門とした貿易を中心にアジア各国で事業を展開している。食品、原材料だけにとどまらず、日本の食品技術や機械をアジア諸国の現地ニーズに合わせ提供・販売しているのだ。
その一環と言えるのだろう、今年3月には台湾・台北において開催された「2025 台北国際ベーカリーショー」に日本から3名のベーカリーシェフを講師として派遣。日本の製パン技術を台湾で広めることも行った。技術を広め、それに伴い農産品である「小麦粉」も広がる。そのような広い視野、長期的な視点で事業に取り組んでいることが分かる。その台湾に派遣したベーカリーシェフの一人が、満寿屋商店の天方さんであることから今回の研修ツアーが企画・実現したのだ。
4月から募集を開始したこの見学ツアー「2025年日本精實手作研習團」は、即座に定員。東京のピッツァの名店での夕食から始まるのだが、このお店で使用している小麦粉は北海道産小麦である。つまり、東京から始まるこの研修ツアーは、北海道産小麦を巡る研修でもあるのだ。
2日目は、東京を離れ空路で十勝に。十勝と言えば、広大な農地に広がる小麦畑だ。訪問したのは、本別町の前田農産食品の小麦畑。実際の小麦を見学し、収穫・貯蔵の工程を知ることができたという。その後、北農研に移動し育種についての説明を受けるという研修内容だ。企画した東氏はこの研修ツアーに同行したのだが、この北農研での研修に感銘を受けたという。新品種開発に至るまでの苦労や時間の長さに驚いたそうだ。

(満寿屋商店麦音でインタビューに答える、エバリッチエンタープライズ有限会社CEO東さん)
そして3日目は、いよいよ満寿屋商店の旗艦店である麦音での講習だ。麦音では、満寿屋商店の杉山社長から、なぜ北海道産、その中でも十勝産の小麦を使っているのか、さらに麦音の敷地内にある「麦畑」のお話があった。研修を受けていた人たちは店舗敷地内に小麦があることに驚き、麦に触り、地域の資源を大切にする企業スタンスを理解していた。
続いては、ベーカリーシェフの天方さん、キッチンシェフの馬渕さんによる実技講習だ。参加者は通訳を介してではあるが、積極的に質問をし、また聞き漏らすまいとメモを書いている姿が印象的だった。

(実技講習の場面)

(実技講習)

(講習を受けた方のノート。図説を入れて描いていた)
取材はこの時点で終えたが、翌日は美瑛町、さらには江別市の江別製粉の視察が予定されていた。実際に、北海道で小麦が生育している姿を見学し、さらにそれが地元の工場で製粉されて、パン屋さんでパンになる。ある面では非常に羨ましい状態なのだろう。
東氏に「なぜ北海道産小麦を扱い、それを見学するツアーを行っているのか」を訊いた。「北海道産小麦が好きだから」と即答だった。実際、言葉の端々から“北海道産小麦に惚れ込んでいる”のが伝わってきて、筆者も知らないことが数多出てきた。本当に北海道産小麦が好きなんだなぁ、と感じた。このような熱い思いが、きっと日本の農家、そして台湾や他の諸国の実際に利用するお客さんの信頼につながるのだろう。
(取材・記事:企画室 上野)
取材協力:エバリッチエンタープライズ有限会社
URL: https://everich.co.jp/
台湾の法人:東聚國際食品有限公司
URL: https://www.e-rich.tw/
2025年9月16日号 (通算25-11号)
HAL農業賞受賞者の取り組みから学ぶ
緑化・デザインの考え方ミニセミナーを開催
東京都狛江市の株式会社和泉園の代表取締役社長で、東京農業大学非常勤講師でもある白井真一さんをお招きして、昨年初めて、緑化・デザインの考え方を学ぶミニセミナーを開催。大変好評だったので、今年も引き続き白井社長をお招きし、2025年8月1日(金)に第2回目のミニセミナーをHAL財団セミナールームで開催した。

前半は、都市の緑化について、お話を伺った。普段、屋上緑化や公園緑化という言葉をよく聞くが、「緑化」とは、草や木を植えて緑を増やすことであり、緑化によって、美しい環境や、癒しの空間などが整備されてきた。
しかし、現在のように成熟した都市においては、防災や気候変動に対する対策などができていなければ、環境が整うとはいえなくなっている。そこで「グリーンインフラ」という考え方が広まっているという。「グリーンインフラ」とは、「社会のさまざまな課題に自然環境のもつ機能を活用することで、社会資本の整備や魅力のある国土や都市、地域づくりを進める」という考え方。
グリーンインフラの「グリーン」は、緑・植物という意味にとどまらず、緑・水・土・生物などの自然環境が持つ多様な機能や仕組みを指す。それらを積極的に生かすことで、防災・減災や地域復興を主として私たちの暮らしはより豊かに、そしてSDGsのゴールである自然と共生した持続可能な社会へと近づけようというのだ。
グリーンインフラを推進することで、地球温暖化の緩和や浸水対策、生き物の生息・生育空間の提供など環境への様々な効果が期待できる。また、グリーンインフラを適切に運用していくことで、健康の促進や環境教育などの人間活動に効果がもたらされるということなどを学ぶことができた。
後半は、緑のビジネスの話。造園装飾を多く手掛ける和泉園ならではの、ドラマやCMセットの裏話を聞くことができた。なにげなく見ているドラマやCMの植物や庭は、苦労の上に作られていることがわかった。
また映像のみならず、ファッションショーの装飾や、今年は万博でのイベント用の梅の木の制作など、仕事は多岐にわたっている。今後のさらなる広がりが気になるところだ。
つづいて、今年は、第13回HAL農業賞 優秀賞を受賞した、有限会社花茶の小栗美恵さんと、HAL農業賞アンバサダーで、「まちづくりコーディネーター」で、「絵師」でもある林匡宏さんを話題提供者にお迎えした。
小栗さんは、花茶農園を営む一方で、農村風景を愛でながら美味しい季節の料理を楽しめる、ふれあいのスポットとしてファーム花茶をオープン。農村の風景を「庭」に・・・まさに、ガーデンの原型だ。さらに、ファームの敷地内に自らガーデンを作るなど、緑化を進めている。
林さんは、渋谷の都市デザインや、札幌市初のPark-PFI事業「百合が原公園再整備プロジェクト」を手掛けている。Park-PFIとは、民間事業者が都市公園の中にカフェやショップなど公園の利便性が向上する収益施設を設置し、その収益の一部を公園の管理や整備などに活用する制度だ。民間事業者の創意工夫により市民サービスの向上や公園の活性化、行政の財政負担の削減を図ることができるとして、全国的にも広まっている。
こうした公共的空間をいかに活用していくか。その一つが、まちなかの緑化だ。まちなかに、緑や畑を作ることで、環境整備はもちろんのこと、人々が「つながる」場所ができるとのこと。また新たな緑化の可能性を知ることができた。
参加者は、札幌市内の生花業や苗・鉢物業の方、畑作農家、まちづくり、公園関係の方など。講演会終了後の懇親会では、ビジネス上の意外なつながりがあることが多々わかり、大いに盛り上がっていた。緑化の話を通じて、ここでもまた「つながり」の大切さを意識させられた。今後もこの「つながり」から新たなコラボなどに発展することを期待したい。
HAL農業賞受賞者を招いてのセミナーなど、ご要望ありましたら、HAL財団までお寄せください。
(記事:総務部 山京)
2025年9月2日号 (通算25-10号)
ブロッコリーはお好きですか?(2)
*今回の「WEB版HALだより」は、野菜ソムリエとして大活躍の吉川雅子さんにお願いしました。
なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。
*2週にわたって掲載しています。
レポート:吉川 雅子
「ブロッコリー」が、国民生活に欠かせない野菜「指定野菜」に追加されるというニュースが2024年に報道されました。
指定野菜になると何が変わる? 変わらないの?
そもそも指定野菜って?
今回は、ブロッコリーから見た北海道農業の変化を少し紐解こうと思います。2回連載の第2回目となります。
減反政策で始まった道内のブロッコリー栽培
十勝のブロッコリーを牽引する木野農協
ブロッコリーは冷涼な気候を好み、現在の主産地は北海道、愛知、埼玉など。北海道産は春播き夏採りのもので、道内はもちろん全国へと出回ります。
生産統計を見ると、1978年に「野菜生産部会協議会」が組織された伊達市農協において、先行してカリフラワーを多く栽培。ブロッコリーの栽培も需要拡大に対応して増加したため、「カリフラワー、ブロッコリー部会」が発足されました。ほぼ同時期に、音更町の木野農協管内で生産がスタート。その後、道央の水田転作の拡大で、秩父別町や長沼町、江別市等で産地化が進みました。
木野農協では、1982年からの2年間、真空予冷試験機で道外移出に取り組み、1984年から真空予冷施設や温泉熱を利用した特産物センターを増やし、野菜の産地化を支えてきました。1986年からは、木野農協と音更町農協の両方の生産物を木野農協の施設に集め、共同出荷を開始。翌年には府県移出量トップの産地となりました。
年々増加してきたブロッコリー栽培に対応するために、1992年には、ブロッコリー選果施設と野菜予冷庫を新設し、府県移出体制を整備しました。1994年には製氷施設を作り、発泡スチロール箱にフレークアイスと花蕾を詰めて出荷するように。2007年には製氷機を増設しました。
農家が収穫したブロッコリーをミニコンテナで予冷庫に搬入、十分に冷やした後、共選場において目視と臭いで規格や腐敗を選別し、箱詰め、氷詰めで出荷する体系となりました。

1995年以降ブロッコリーは消費拡大により価格が上昇し、業務需要も多くなりましたが、一時期、アメリカからの輸入ブロッコリーが拡大して価格が低迷。各産地で拡大傾向が鈍り、音更町でも栽培面積は減少しました。
しかし、その後、国産の品質が評価され、国産志向が高まったことから道内での生産は持ち直し、音更町でも栽培が回復、現在約120haの一大産地として安定。府県の夏場のブロッコリーを支えています。


札幌圏の健康を支えるながぬま農協
長沼町は千歳川流域の平野で、石狩平野につながる水田地帯。しかし、1965年代の減反政策で、長沼町の基幹品目の水稲経営は不安定となり、水稲以外の栽培品目が検討されました。そこで、1988年に町内1区蔬菜振興会が、水稲に代わる野菜としてブロッコリーを試作しました。
1994年に長沼農協と北長沼農協が合併、「長沼町園芸組合連合会ブロッコリーグループ」が組織されました。2007年に名称を「ブロッコリー部会」に変更し、販売は全量加工業者に委託、1玉60円で契約販売を始めました。しかし、加工業者の処理量を大幅に超過する出荷量となり、他の業者にも出荷したため、安定して60円の支払いを受けられない状況となりました。そこで、製氷機をリースし、従来の加工業者だけでなく、市場出荷も加えて有利販売を目指しました。また共選事業も導入したことで、均一な品質が評価され、産地評価が高まりました。その後も、ブロッコリー栽培の増加はめざましく、2010年に苗の全自動移植機の助成事業が開始されるなど、栽培個数、面積ともに伸び続けています。
また、選果場も見学させていただきました。まず生産者から、店頭で並べる用に葉を落としたブロッコリーがコンテナに入れられて運ばれてきます。それを一晩冷蔵庫で冷やし、翌日選果場に運びます。

スタッフによって発泡スチロールに入れ替えられ、ベルトコンベアーに乗って、製氷機の前でフレークアイスが入れられます。

そのまま流れていき、自動で発泡スチロールの蓋をされて、トラックに積みやすいように並べられます。
「現在、約250haのブロッコリーの畑がありますが、この製氷機は300haくらいまでは対応できます」と青果部の山本大介部長。
長沼のブロッコリーの出荷は6月上旬から11月下旬。札幌圏や府県への出荷だけでなく、繫忙期の7月の1カ月間は台湾にも輸出されています。

人気のあるブロッコリーですが、懸念されているのが生産者の高齢化と気候の変化です。
特に気温の大幅な上昇や水不足は年々目を見張るものがあります。その対策として行われているのが「地下かんがい」です。用水路と暗渠排水上流部を接続し、かんがい用水を注水することによって、暗渠管を通じて地下水位を上昇させ、作土層内に水分を供給する方式です。また、機械による収穫など、人手不足を解消する工夫も急がれています。
2024年度の「ものづくり補助金」において、「指定野菜ブロッコリーの生産拡大のための省力化設備導入」で採択され、圃場ごとにかんがい装置を導入し、効果を上げている生産者もいます。
健康野菜のブロッコリー。多くの方がたくさん食べて健康になってくれますように!
プロフィール
吉川雅子(きっかわ まさこ)
マーケティングプランナー
日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ上級プロや青果物ブランディングマイスター、フードツーリズムマイスターなどの資格を持つ。
札幌市中央区で「アトリエまーくる」主宰し、料理教室や食のワークショップを開催し、原田知世・大泉洋主演の、2012年1月に公開された映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加し、北海道の農産物のPRを務める。
著書
『北海道チーズ工房めぐり』(北海道新聞出版センター)
『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』(北海道新聞出版センター)
『野菜博士のおくりもの』(レシピと料理担当/中西出版)
『こんな近くに!札幌農業』(札幌農業と歩む会メンバーと共著/共同文化社)
2025年8月26日号 (通算25-09号)
ブロッコリーはお好きですか?(1)
*今回の「WEB版HALだより」は、野菜ソムリエとして大活躍の吉川雅子さんにお願いしました。
なお、この文章は、筆者及び筆者の所属する団体の見解であり当財団の公式見解ではありません。
*2週にわたって掲載いたします。
レポート:吉川 雅子
「ブロッコリー」が、国民生活に欠かせない野菜「指定野菜」に追加されるというニュースが2024年に報道されました。
指定野菜になると何が変わる? 変わらないの?
そもそも指定野菜って?
今回は、ブロッコリーから見た北海道農業の変化を少し紐解こうと思います。2回連載の第1回目となります。

ブロッコリーが50年ぶりに指定野菜に認定
全国的に人気のブロッコリー
緑色のモコモコとしたブロッコリー。いつの間にか、スーパーでもそれなりの売り場面積が確保されるようになった野菜です。このブロッコリーが約50年ぶりに「指定野菜」に追加されることが、2024年に発表されました。
「指定野菜」とは、1966年に施行された「野菜生産出荷安定法」において、「消費量が相対的に多くまたは多くなることが見込まれる野菜であって、その種類、通常の出荷時期等により政令で定める種別に属するもの」と定義されています。「指定野菜」には、作付面積が最も多いジャガイモ、次いでキャベツ、ダイコンなど14品目あります。なお、ブロッコリーは既に指定野菜であるニンジンの作付面積を上回っています。
また、作付面積はもちろんですが、ブロッコリーの集荷量および消費量が特に増えており、農林水産省によると、2021年におけるブロッコリーの出荷量は15万5,500トンであり、2001年の7万5,500トンと比較するとおよそ2倍になっています。
これらの背景から、2026年度からブロッコリーが「指定野菜」の仲間に入るというわけです。

指定野菜制度の導入の背景
「指定野菜」の導入には、1960年代の日本の時代的背景が大きく影響しています。
当時は高度経済成長期ということもあり、急速な都市化と工業化が進展していました。農業従事者が減少していく一方、食生活の変化により野菜の需要が高まってきたのです。その結果、野菜の市場価格が乱高下し、社会問題になったことがありました。
野菜は病害虫や自然災害、天候不順など自然環境に大きく左右され、生産量が変動しやすく、それに伴って販売価格も変動します。そのため、価格の安定化対策や生産の調整、流通の支援を行い、市場の安定化を図る制度が必要となりました。それが「指定野菜制度」なのです。
指定野菜の生産者は、国の需給ガイドラインに基づいた供給計画を立てて野菜の生産を行います。自然環境だけでなく、輸入過多による国内市場飽和などで、指定野菜の価格が著しく下落した際には、「指定野菜価格安定対策事業」によって「生産者補給金」の交付対象となります。これにより生産者の生活を支え、農業経営の安定を図ります。このように、指定野菜制度は野菜の需給バランスを整えることで販売価格の安定化を促進する狙いがあります。ただし、補助金の交付は「指定産地」で生産・出荷された指定野菜に限られています。
指定野菜になることがきっかけで、経営の軸であるブロッコリーの信頼が高まり、事業としても拡張性があると判断できたため栽培面積を倍増させた生産者もいます。また、メディア等で指定野菜としてブロッコリーが取り上げられることで、作物自体の注目度が高まり、それが人材採用にも良い影響を与えているそうです。
西洋野菜のブロッコリー
食べている部分は花蕾
かたい話はさておき、ブロッコリーに話を戻しましょう。
ブロッコリーは、原産地を地中海東部とするケールが起源の野菜です。とても長い時間をかけて、ケールの葉が結球したものがキャベツ、根が発達して食用となったものがコールラビ、花の部分(花蕾)が食用になったものがブロッコリーとカリフラワーに分化していったといわれています。
現在の形状のブロッコリーがいつ頃から食べられていたかは不明ですが、地中海沿岸では古くからケール起源の野菜を食べていたようです。その中でブロッコリーは、キプロスやクレタ島あたりからイタリア半島に伝播し、栽培が盛んになったのが15~16世紀頃。その後、イタリアからヨーロッパに普及したのは、17世紀頃といわれています。


日本でのブロッコリーの人気
日本には明治時代初めにカリフラワーとともに西洋野菜として導入されましたが、一般には普及しませんでした。第二次世界大戦後に、食の洋風化に伴って栽培が本格的に開始。初めは、"ハナヤサイ"という和名で消費が広がったカリフラワーの方が人気で、生産量、消費量ともに多かったのですが、国民の栄養意識が高まり、次第に緑黄色野菜であるブロッコリーの栄養価が評価され、その消費量が伸びたというわけです。
モコモコした形状、きれいな緑色で、甘みがあって食べやすい。茹でてそのままマヨネーズを付けても、また、サラダやシチューなどの料理、お弁当の彩りにも最適です。
アブラナ科の野菜のがん予防効果が期待され、新芽であるブロッコリースプラウトも人気です。また、野菜の中ではタンパク質量が多く、キャベツの約5倍、ダイコンの約13倍含まれています。マッチョマンたちが好んで食べる野菜となりました!

*第2回目は、2025年9月2日号に掲載予定です。
プロフィール
吉川雅子(きっかわ まさこ)
マーケティングプランナー
日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ上級プロや青果物ブランディングマイスター、フードツーリズムマイスターなどの資格を持つ。
札幌市中央区で「アトリエまーくる」主宰し、料理教室や食のワークショップを開催し、原田知世・大泉洋主演の、2012年1月に公開された映画『しあわせのパン』では、フードスタイリストとして映画作りに参加し、北海道の農産物のPRを務める。
著書
『北海道チーズ工房めぐり』(北海道新聞出版センター)
『野菜ソムリエがおすすめする野菜のおいしいお店』(北海道新聞出版センター)
『野菜博士のおくりもの』(レシピと料理担当/中西出版)
『こんな近くに!札幌農業』(札幌農業と歩む会メンバーと共著/共同文化社)
2025年7月22日号 (通算25-08号)
HAL農業賞受賞者を交えての勉強会開催
2024年度に20回目のHAL農業賞贈呈式を行った。20年の歴史がある表彰制度になったのだ。かつては、それまでの受賞者を招いて贈呈式を開催していたが、コロナ禍の影響もあり、ここ数年は受賞者と少数のゲストのみで行っていた。
このHAL農業賞を受賞した経営者の経験をさらに広めるために、今年度から試験的に「HAL農業賞受賞者の声を聞く勉強会」を開催することとし、その1回目を名寄市風連で6月25日に開催した。
会場となった、風連もち米の里は道の駅「もち米の里☆なよろ」の旧建物で、第1回HAL農業賞地域特別賞を受賞した(株)もち米の里 ふうれん特産館の社屋でもある。今回、この勉強会の趣旨に賛同し、会場を使わせていただいた。
話題提供者には、もち米の里 ふうれん特産館の堀江さん、また第6回HAL農業賞チャレンジ賞を受賞した中富良野町、天心農場の北川さんも駆けつけてくれた。

午後2時から開催予定であったが、参加者が集まった1時半から勉強会を開催。今回は道北地方を中心に名寄市5名、旭川市1名、北広島市1名、当麻町2名、雨竜町1名、中富良野町1名、小平町1名、合計12名の参加があった。


始めに、筆者(HAL財団 上野貴之)から「今年の春からの営農状況。困ったこと、良かったこと」について参加者に発言を求めた。この手の勉強会では、話を聞くだけで発言の機会をなかなか作ることができない場合が多いが、10名程度であれば全員が何かしら発言することができる。そこが大きな狙いの一つでもあった。様々な発言が出てきたが、特に参加者の多くが語ったのが、今年の春はなかなか気温が上がらず、大型連休の最中にも雪が降るなど、春先の作業がずいぶんと遅れ、あるいは大変な状況だったことだ。
今回の勉強会は、特定のテーマを設けずに、HAL農業賞受賞者の経験を聞き、あるいは参加者の発言をもとにみんなでディスカッションを進めていく方法で行った。農業資材の話や防除の方法、あるいは植え付けの技術的な課題にまで話が及び、質疑応答が常に飛び交う活気あふれる勉強会となった。
参加者の声を拾うと
Hさん(名寄市):同じ地域に住んでいても、それぞれの営農の実際を今まで知る機会はなく、非常に勉強になった。
特に、新しい資材の使い方に関しては、若い人はすべて教えあっているのが驚きだった。私たちの世代では、失敗すると隠す、成功すると教えないのが普通だったが、今の若い世代は失敗も成功もみんなで共有している。これは力強い農業につながると思った。
Kさん(名寄市):今まで感覚で理解していた言葉を科学的根拠で理解することができた。多くの経験を持っている人の声はとても貴重だった。また、諸先輩の農業技術に対しての真摯な姿は、これまで経験したことのないレベルで驚いたが、ぜひ自分でも取り入れていきたいと思った。特に株間を1㎝単位で考え、実践していることは衝撃だった。
勉強会を終え、名寄市内の焼肉店で懇親会を開催したが、全員が車で来ているため、ノンアルコールでの会食だった。それにも関わらず、夕刻5時半から夜9時まで大いに語らい、真剣に情報交換が繰り広げられていた。

HAL財団では、HAL農業賞受賞者を話題提供者とした小さな勉強会を開催いたします。ご希望がありましたら、HAL財団企画室までお寄せください。
(取材・記事:企画室 上野)
取材協力
(株)もち米の里 ふうれん特産館 URL:https://mochigome.jp/