HAL財団

「家業」から「地域企業」へ

WEB版HALだより「テキスト版」

2023年12月5日号(通算23-28号)

農業経営レポート

 

“Seek out innovators” 
~Part2:『水が無い水田』の取組みの拡大版~~
を掲載します。

                             

 筆者の梶山氏は元農水省職員。現在は、千葉県で一般社団法人フードロスゼロシステムズ代表理事、行政書士として活躍中。

前回(2023年8月22日号(通算23-17号))に続き「乾田稲作」について農業経営の視点からのレポートです。

 それでは、この先はレポートになります。

 なお、この文章は、筆者個人の見解であり当財団の公式見解ではありません。


““Seek out innovators”Ⅳ ~北海道での乾田直播取組の拡大!~

 レポート:梶山正信

Ⅰ はじめに

(1)昨年から北海道で先駆的に水無し乾田直播にリスクを取ってチャレンジしている共和町の合同会社ぴかいちファームの農業経営者の山本耕拓(やまもと たかひろ)さん(以下、山本さん)を取材した記事を詳しく掲載していることから、山本さんがどれだけイノベーターであるかについての記述はここでは割愛する。

(2)今回、山本さん以外でもチャレンジングなコメ生産者がこの北海道に居ることを聞き2023年10月12日に秩父別町に所在する(株)川合農場を訪問した。
取材を終えての自分の偽らぬ印象としては、北海道にはリスクを恐れずチャレンジする、そして新技術を否定する風土を打破しようと努力している本当のイノベーター農業経営者が、沢山居ることに改めて気付かされた取材であった。

Ⅱ (株)川合農場の乾田直播の取組について

1.(株)川合農場の概要

(1)(株)川合農場は、北海道でも有数の水田地域の一角に所在する秩父別町にある。この地で4代にわたって農業を続けている農業経営者の川合雅記(かわい まさき)さん(以下、川合さん)が今回の取材先だ。
現在、川合農場では水稲のみ合計約45haを作付けしている。ただし、先の取材先である共和町の山本さんとは違い、主力は加工用のモチ米で、一部に飼料用米を作付けという状況である。また、共和町の山本さんと同じ新技術を活用しての乾田直播での作付けは畜産農家と連携した稲サイレージ(稲WCS)の作付けに限られ、それも稲WCS作付け面積200aの内66aとごくわずかな面積である。

(2)川合さんのお話では「今年から稲WCSを含めて全てに菌根菌を使用することで、育苗の根の伸び方が依然とは全く違う」ということだった。菌根菌の活用で反当り10俵以上の収量が期待でき、直播も同程度の収量が確保できる見通しだという。この経験から、今後は労働力、費用を削減できる菌根菌利用での直播にシフトしていく意向とのことであった。

(3)川合さんから強い意志を感じたのは、現在の主力である加工用のモチ米の拡大ではなく、飼料米を含めた畜産農家と連携した菌根菌利用での水無し乾田直播での稲WCSの大幅な生産拡大の意向であった。
この取り組みは、今年から始めたばかりではあり極一部の66aという面積に過ぎない。しかし、今後は稲WCSを50ha、100haと増やしていき労働費を大幅に削減し経営効率を上げ、少人数で事業を行うことが当面の農業経営における目標ということであった。


<(株)川合農場のフル自動精米機倉庫の内部とそのコントロールパネル>
2.なぜ、新技術の乾田直播にチャレンジしたのか?

 (1)川合さんに新技術というべき、菌根菌利用の乾田直播に取り組んだきっかけを伺った。それは、やはり北海道内での先駆者である共和町の山本さんの取り組みを見たことによるものであった。しかし、川合さんと山本さんには大きな違いがある。山本さんは主食用のコメ生産であるが、川合さんは畜産農家と連携した耕畜連携での稲WCS用の栽培なのだ。その理由を伺う中で、私自身が元々農林水産省で畜産分野を専門に仕事をしてきたことから、耕種農家と畜産農家との連携上の課題の話になり、川合さんから「近くに畜産農家としっかり連携ができる農業経営者の知り合いがいる」との話があった。そのような確固たる信頼関係で連携できる畜産農家の存在や、お互いが意向や事情を理解できたことが大きいとのことだった。

(2)ここから若干、耕畜連携での専門的な話になるが、耕種農家が畜産農家と連携する上で一番肝となることを川合さんも力説されていたので、あえて丁寧に書くこととする。
昔は特に稲わらについては、耕種農家が丁寧に刈り取った稲わらを棚に掛けて天日乾燥させて、泥が付いていない綺麗な稲わらを畜産農家に提供していた。それが、自脱型コンバインの普及で稲わらを回収しなくなり、日本での稲わらでの耕畜連携が大きく衰退していったところである。

(3)農林水産省では、これを打開するために耕種農家の稲わらの回収事業等も実施したが、昔と違って耕種農家と畜産農家の所在地の分離が進み、耕種農家と畜産農家がお互いにその意向や事情が理解できない環境になってしまった。泥が付いたような品質が適さない稲わらを耕種農家が畜産農家に販売してしまうと、畜産農家から見ると、耕種農家を信頼できない、そのようなものは買取できないということになってしまうのだ。実際、道東の畜産地帯と耕種地帯の距離の遠隔以上に、両者の意識の差、隔たりが大きくなってしまったと川合さんは力説していた。

(4)しっかり連携が出来る畜産経営者は、川合さんの稲WCSならいくらでも道東から取りに来て買うよという信頼関係をも築くことができたのだ。その結果が、稲WCSの50ha、100haの拡大という先に記した経営目標につながるのだ。
その目標に向け、稲WCS用の中古のロールベーラー機は既に購入しており、今後の付近の離農地を利用することで、畜産農家から求められる稲WCS生産へ経営をシフトとする意向であるという。さらに、現在の加工用のモチ米の引き合いも相当あるので、今後はモチ米の価格UPを進める意向であるという。誠に、強気の販売戦略として秀逸である。
なお、現在二軒の畜産農家との取引があるが、従来は子牛用の稲WCSが主であったが、最近はその利用量が増えています。それに加え、敷料用途であるもみ殻も年間250トンほどの取引されるようになった。

 

3.モチ米、飼料米、WCSでの乾田直播の相性は?

(1)私が最初に驚いたのは、都府県の代表的なコシヒカリであれば1反6~8俵が標準的な収穫量だが、北海道では1反10俵取れて当たり前ということだった。乾田直播で本当に10俵が取れるのか?と質問したところ、育苗より不安定ではあるが遜色なく経営出来る、WCSの成長も水無しに関わらず思ったより順調だったとのことだ。つまり、菌根菌と菌根菌に適した管理をすると、育苗と比較しても全く問題ない相性であると推測される。
そのためには山本さんのようなしっかりとした栽培技術があることが肝心だが、川合さんはデジタルクリエイターを自称されていて、6年前からドローン請負散布業開始、それ以前はラジコンヘリコプターで請負散布業をやっていたという経歴の持ち主だ。しかも、地元の町内でのスマート農業組織の運営にも携わっていることから、実際の自分の農業経営においてもRTKドローンや自動操縦トラクターを導入して、労働費の削減に積極的に取組む先駆的な農業経営者であることが、この取材で分かった。

(2)少々話は横道に逸れるが、自分のイメージで北海道の農業経営者は既に都府県でいう農家という意識はなく、果敢に前例踏襲主義を打ち破りチャレンジする方ばかりだと共和町の山本さんを取材して感じていた。
だが多くの水田地帯の農業経営者は、やはり都府県と同じように地域の和が第一で、ドローンや自動操舵トラクターなどの新技術をなかなか認めない風土だという。水田の水利権の関係から人の和を重んじ、変化を嫌う土地柄なのであった。

4.将来の自分の農業経営の可能性をどのように考えているのか?

(1)現在、川合さんの(株)川合農場の売上高はおよそ7千万円ということだが、当然、稲WCSの作付け拡大により、机上の概算でも50haであれば最低でも5千万円は上昇するはずだ。それにつれてモチ米の価格も相乗効果で上昇が期待され、現状の2倍程度の売上高になると想定される。

(2)これが、100haになれば言わずもがなの売上高になることになるはずなので、それを本当に一人でやれるのですか?と質問した。その回答は「水無し乾田直播のWCSで50haを一人で回せる体系を構築したい」とのことだった。もしそれで100haをやることが一人で無理なら、そこに有望な一人を加えることで、50haの2倍の100haが当たり前に回せる体制としたいという。
   前述したように、この秩父別町が水田地帯ということで、水田の水利権の関係から人の和を重んじ、変化を嫌う土地柄ではあるものの、我々の世代から下と共にが、それを変えるタイミングを考えているという。農業経営者というより戦略家としての一面を強く垣間見た気がした。

5.今の自分の農業経営において、一番大切にしているポリシー&経営理念は?

(1)取材の終わりに川合さんの今の農業経営のポリシーを伺ったところ、即座に「一人でやれる経営が自分のポリシー」とあった。その理由を詳しくお聞きすると、川合さんの経営理論からすれば、100haを二人で作業を分担しながら回すのは本当の効率化ではない。50haをマニュアル等で完全に一人で難なく回して、それを二人にすれば100haを難なく回せる体系が構築できれば、非常時にはどちらかだけでも農業経営の全体が回るはずという。その考え方を聞き、本当に従来の農業経営者の思考ではなく、ドローンや自動操舵トラクターを駆使するデジタルクリエイター的な思考だと強く感じた。

(2)また、将来は稲作でもメタンフリーが当たり前の社会が来るので、菌根菌などの利用で乾田直播は労働費の削減とともに、メタンフリーというキーワードが重要な意味を持つ時代が来るとお話された。私も新技術による日本のコメの輸出の拡大で、長期的にはそのことに異論はないが、短期的には川合さんのようなデジタルクリエイター的な感覚、またプロダクトアウトではなくマーケットインでの消費者のニーズを的確に捉えた、時系列の各段階でのメタンフリー戦略が、農業経営者サイドの視点として必要だと、お互いに納得して熱のこもった議論を行った。

(3)最後に余談にはなるが、これかからの農業経営者に重要なことで、現状、この秩父別町の水田でも半分以上が農業用ヘリコプターからドローンに置き換わっており、将来は全てがRTK測量でのドローンになると見込まれる。
また、全国での5G、6G基地局の設置で、自動操舵トラクター等が当たり前になる時代が来るのはそう遠いことではない。川合さんが強く言われたのは日本のドローンは他国製ドローンと比べて5年は遅れていて、その差は開き続けている。現実的に映像の処理技術からしても全く駄目だし、今の日本のドローンは他国製と比べると価格も高く、2023年夏に大幅値下げされたものの農業経営者として使える代物ではないと発言があった。農林水産省で国産ドローンを推進してきた立場から非常に衝撃であった。

Ⅲ あとがき

  • 福岡県出身である私の農家のイメージからすると、北海道の多くの農家はもはや農家ではなく農業経営者であり、地域での古いしがらみにとらわれずリスクを取ってでも新技術にチャレンジする山本さんのような農業経営者ばかりだと考えていた。しかし、現実は北海道でも水田地帯の農業経営者は、地域での前例踏襲の考え方にぶつかり、なかなか自分の言いたいことが言えない、自分のやりたい経営への変換が図れない、都府県で代々続く農家と同じ状況であることが、強く印象に残った。
  • 今後は川合さんのようなデジタルクリエイター的な思考、そして山本さんのようなリスクを取ってでも新技術にチャレンジする先駆的な農業経営者が、この北海道だけでなく日本全体で増えてくるものと、私は確信している。それでも、今現場でそのことに日々苦労している川合さんのようなチャレンジャーの農業経営者の方々に、自分がどのようにお手伝いが出来るのかを問う必要があると強く感じた取材であった。
  • 今、私は早稲田大学招聘研究員として稲作のメタンフリーを含めたカーボンニュートラルについて学んでいるが、つい最近、専修大学法科大学院で新たに始まった「土地国家帰属制度」の科目も受講し始めたことから、今後、更に増えるであろう耕作放棄地をどのようにしたら川合さんのような先駆的な耕種農家に活用してもらい、畜産農家と連携した稲WCSなどの生産拡大に繋げられるかについても考えたいと思う。それが、農林水産省で長年お世話になった畜産関係者の一人として、北海道の畜産農家へのせめてもの恩返しになるのではないかと考えているところである。

梶山正信
一般社団法人フードロスゼロシステムズ代表理事(行政書士)

筆者プロフィール
 1961年生まれ 
 2021年まで農林水産省に勤め、現在は一般社団法人フードロスゼロシステムズ代表理事、行政書士として活躍中
 2023年からは、早稲田大学招聘研究員として、カーボンニュートラル、地域活性化等を学んでいる。

━以上━

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/1638/

2023年11月28日号 (通算23-27号)

書籍紹介 「めざせ!ムショラン 三ツ星」
刑務所栄養士、今日も
受刑者とクサくない
メシ作ります

  話題の書籍のご紹介。
 「めざせ!ムショラン 三ツ星」黒栁 桂子著、朝日新聞出版発行。

 

 私は法務省には何人かの知り合いがいるが、法務技官(法務省での技術職員)に管理栄養士がいることさえ知らなかった。そして、刑務所での食事を作っているのが、誰なのかもこの本を読むまで知らなかったのだ。

 仕事柄、食事の材料となる野菜などの値段など、いろんな情報が入ってくる。出来栄え、出荷額、これからの流行りや栽培方法なども。

 そして、巷にあふれる食に関する広告。これを食べると健康になる、という広告もある。どんな食事が大事か、どんな食品が危ないか、多くは危機感を煽るようなものが多く、そういうのを目にすると辟易としてしまう。

 そのような広告に出あう度に「選ぶことができるのは、それだけ時間的な余裕や金銭的余裕、そしてそもそも選ぶことのできる場所に住んでいるんだ」と見ていた。

 

 この本の存在を知り早速購入してみた。

 人材募集があり、それに応募して採用された筆者(管理栄養士)。刑務所での実務がどのようなものかを知らぬままに応募したという。

 それまで学校給食や病院、福祉施設での給食経験はあるというが。。。

 刑務所では、受刑者が給食(食事)を作るのだ。しかも、全員がほぼ未経験。

 

 それを指導し、さらに栄養、予算から献立を作るのが法務技官(管理栄養士)の仕事だ。

 書籍案内には、このような言葉が記してあった。

「刑務所では制限が多いながらも「ワクワクする給食」をめざし、受刑者たちの「ウマかったっス」を聞くため、彼らとともに日々研究を重ねている」と。

 現代は、貧困で日々の食べ物に困る人もいる一方、体に良いという謳い文句を掲げた多くの食品やサプリメント、果ては栽培方法までもが出回っている。

 ところが、選択肢もほぼなく(まったく無いわけではなく、その選択をするのが法務技官の仕事である)、多くの制限のなか日々の食事を作り、食べ、そして更生に結び付ける法務省の仕事。

 

 私たちに必要な食事をもう一度見つめ直さなきゃなぁ、と思う1冊であった。

 

(HAL財団 上野貴之)

この記事のURLhttps://www.hal.or.jp/column/1633/

2023年11月21日号 (通算23-26号)

生産者の手がける農園レストラン

*写真家・藤田一咲(いっさく)さんに、HAL財団・上野貴之がお話しを聞く形で進めてきた「WEB版HALだより」。いよいよ、今回がシリーズ最後です。

ふたりのマルシェを後にした私たちは、昼食を兼ねて千歳市でアイスクリーム、とうもろこしやいちごなどの農園、レストランを運営する〈花茶(かちゃ)〉を訪れた。

◇魅力の農園レストラン

★一咲:言っては悪いんですが、こんな交通の便が悪いところにポツンとあるレストランなのに、お店はもうお客さんでいっぱいですね。

●上野:今日は平日、そして開店してまだ30分も経っていませんよ。

★一咲:それだけ人気の高いお店なんですね。お客さんも若い人から高齢者まで、一人からグループまでと幅広いですね。明るくてきれいな店内で、居心地も良く、お料理のいい匂いがして、ぼくもお腹がグウグウ言っています。


■花茶のレストラン外観。明るく黄色い建物が目を引く。レストラン前にはピクニックもできる広い芝生があり、その先はさらに広い農園へと続く


■大きい窓から外の光が優しく差し込むレストランの内部。白い壁に木材のテーブルやイスがセンスよく並ぶ

◇こだわりの露地栽培

●上野:食事が出てくるまでの時間、農園の方を見ましょう。ここはいちご狩りもできるんですよ。

★一咲:農業用ハウスに入るのはかなり久しぶりです。
いちごの甘い香りがして、色もとても鮮やかできれいですね。
あれ? いちごが地面に植えられてる。


■花茶の農業用ハウス。ゆきララが栽培されていた
(注:いちご狩りは、専用のほ場で実施しています。今回は取材のため特別に農業用ハウスに入れていただきました。)


■地面全体を覆うように敷かれたわら。わらはプラスチックのフィルムよりもいちごの生育、土壌の改善に効果が高く、環境にやさしい


■大粒で真っ赤に育ったゆきララ。ゆきララは咲かせる花が少ないため、栄養分が分散せず豊富に含まれ大粒に育つ

●上野:すぐに気づきますよね。露地栽培とか土耕栽培と言います。今は棚に植え、薄いプラスチックのフィルムを敷くのが主流になり始めていますが、ここでは農業用ハウスの他、外の農場でも地面に植え、わらを敷いています。わらを敷いているのは、乾燥や地温の上昇を防ぐ効果がフィルムよりもはるかに大きく、土壌の質の改善にも効果が期待できるから。環境にもやさしいですしね。

★一咲:露地栽培のメリットは太陽の光をたっぷり浴びて元気に育ち、より濃厚な色、ツヤ、味わいになって美味しい、ということでしょうか。
でも、かがんだりしゃがんだりと体にはかなり負担がかかりそうですね。

●上野:そうなんですが、露地栽培にこだわって、ここの小栗美恵さんが中心になって手作業で一生懸命育てているのです。農業用ハウスは風や雨などの天候に左右されないので、生産量が安定しているので販売用に、外の農場は主にいちご狩り用ですね。農園は8,000平方メートル(40×200メートル)もあります。路地栽培は天候の他に病気の影響も受けやすいので繊細ないちごには過酷な生育環境です。そのため、北海道ではいちごの露地栽培は年々減ってきています。

★一咲:露地栽培はいちごにも過酷な環境ですが、人にも手間が大変では、後を継ぐ人も減りそうで将来が心配です。

●上野:後継者不足は、高齢化とともに北海道農業の大きな課題になっています。

◇至福のいちご時間

★一咲:うわあ、このいちごは甘くて美味しい! あ、勝手に手が伸びてしまいました。
こんなに大きくてきれいで甘く、ジューシーで美味しいいちごは初めて食べました。

●上野:これはゆきララといういちご。福岡県の登録品種である「あまおう」と北海道の「けんたろう」を掛け合わせて作られ、2020年に品種登録されたばかりの北海道オリジナルの品種です。新しい品種でもあり、デリケートなので北海道以外ではまだほとんど流通していません。
ここまで美味しくするのには、大変な手間がかかっているのです。

★一咲:それを惜しげもなくいちご狩りですか? なんだかもったいないような。

●上野:青空の下でのいちご狩りそのものが解放感があって楽しいですし、食べて美味しい。みんな幸せになる。ここには広い芝生もあり、家族やグループでピクニック気分で楽しめる。ここでも生産者の想いが伝わってきますね。ここに一度いちご狩りに来ると、みなさんリピーターになるようです。

★一咲:贅沢な時間の過ごし方ですね。そして野菜や果物の販売成功には、「口福(こうふく)」がキーワードになる。
ただ単に野菜を売ってやるや、野菜は安ければいい、というものではないですね。リピーターが多いということは、人(生産者)と人(消費者)との繋がりもありますね。

●上野:その視点、大事ですよね。そういう意味では、農業を支え、明るい農業の未来のためには、生産者、消費者の意識のあり方や関係性も重要になります。

★一咲:このいちごは東京でも売って欲しいなあ。オイシイ!


■ゆきララは一粒がおよそ20グラムと大きめ。そのまま食べて旬を味わうのがオススメ

◇究極の地産地消を目指して

●上野:ここではゆきララの他、宝交早生、けんたろうの3種を育てています。いずれも、北海道の露地栽培に適した品種です。いちごはデリケートで運ぶのが難しいこともありますが、生産量が少ない。他県で売るほど採れない。

★一咲:それは北海道の他の野菜などにも言えそうですね。

●上野:日本は食糧自給率が低いですから。

★ 一咲:それではいくら美味しい野菜を作っても、農業は活性化できませんね。

●上野:ここの農園ではいちごのほかに、ブルーベリーやかぼちゃなども季節に合わせて栽培してアイスクリームの原材料にもしています。変わったフレーバーでは地元特産の「ハスカップ」や「ふきのとう」、「バジル&レモン」なども。
また、ニラなどは蕎麦のトッピングにしたり、アスパラガスなどもピッツァなどの料理に使い、レストランで提供しています。食材は近隣の農家のものも使っているそうです。もちろん、農園ではとうもろこしや枝豆、南瓜、馬鈴薯などの季節の野菜も栽培し、その日に収穫したものを直売しています。

★一咲:まさに地産地消、そして生産者が見える販売ですね。

●上野:ここではそれを「花茶産花茶消」と言って、究極の地産地消をしているのです。(笑)


■花茶名物のアイスクリーム。農園や近隣農家で採れた旬の野菜や果物などを原材料に使い、常時約十数種が販売されている


■カシスアイスクリーム。濃厚な色と、甘さと酸味のバランスが絶妙

◇6次産業化成功のポイント

●上野:農家も野菜を作るだけでは今はやっていけません。ビジネスとして多角化、いわゆる6次産業化は必至なのですが、それを北海道で最初に始めたと言っていいのが花茶なのです。

★一咲:1次産業は生産、2次産業は加工、そして流通・販売の3次産業はわかりますが、いきなり6次産業化ですか? 

●上野:6次産業化というのは、4、5はなくて、1(次)×2(次)×3(次)=6次という計算です。つまり、作物を作った農家が、自ら「加工」「販売・サービス」を行い、生産物の付加価値を高めて所得を向上する取り組み。農家が作物を作る以外のことを行うのは、今に始まったことではなく、漬物を作って売るのも、6次産業化の一つです。花茶では「農園」レストランと称していますが、6次産業化の業態的には「農家」レストランといって、6次産業化の売り上げ全体のおよそ2パーセントの割合を占めます。花茶はレストランの他に、野菜などの「直売所」、アイスクリームなどの「加工」、いちご狩りの「観光農園」もしている。6次産業化の業態をほとんど実現しているのです。

★一咲:はい、よくわかりました(笑)。新しいビジネスモデルを作り上げ、成長させてここまで来るのには、いろいろと大変なご苦労があったと想像しますが、それを乗り越えられたのは、ただ売るだけの作物を作る以外の夢や目標があったのでしょうね。こういう形で実現できれば、野菜の消費量も増えて、農家にも自治体にも利益になりますね。なによりも、農家で採れたての食材を使った美味しいものが食べられるのですから、消費者には安心・安全でとても嬉しい。そして、この新しい農家のあり方は、農業の可能性をまだまだ感じさせてくれます。やろうと思えば、いろいろなことができる。ここは将来の夢の見かたも教えてくれているようです。


■採れたての自家栽培野菜にイタリア産生ハムをトッピングしたピッツァ。メニューにはピッツァやスパゲティーなどの洋風以外に、手打ち蕎麦やカレーなどの和風メニューもある

●上野:今では北海道に花茶と同じようなお店がいくつもできていますが、どこでも成功しているわけではありません。

★一咲:形だけを真似てもダメなんですね。哲学がないと。哲学が大げさなら、想いですね。愛と言ってもいい。自分たちの利益だけを追わず、みんなが幸せを感じられるような。

●上野:相手(消費者)のことをしっかり考える、本来は商売の基本ですけどね。
販売者が自己中にならないということ。これは農業に限らないかもしれません。消費者が求めているものを提供する、ビジネス用語で言うところの「マーケット・イン」の視点が大切になる。
お国の料理がユネスコの無形文化遺産(2010年)に登録されたフランスにも、農家レストランはありますか?

◇農業と観光のいい関係

★一咲:フランスには、中世の時代から、郊外や地方にあるレストランまでわざわざ足を運び、その土地ならではの食材を使った料理を楽しんで宿泊できる施設もあります。

●上野:ああ、オーベルジュですね。美食大国は歴史が違うなあ。日本語では旅籠(はたご)と直訳されるけど、旅籠は宿泊すると食事が提供される施設だから、「食べる」を目的にしたオーベルジュとは違う。有名レストランが畑を持っていたり、農家と契約しているのはよく聞きますね。

★一咲:もちろん農家レストランもあります。フランスの農家レストランは、フランス農業会議所が認定する、生産農家が自作農産物を調理提供するレストラン。フランスの約1万の農業従事者が参加する団体「ビヤンブニュ・ア・ラ・フェルム(意味:農園にようこそ)」によれば、33年前から自身の農園を見学者に開放し、食事や宿泊を提供していて、農家レストランの数は現在800以上。「農家でおやつ」という農家カフェみたいなものも別にあるようです。農家レストランには、農家の品質を保つために食事の提供にあたり、地元の食材を最低51%利用する決まりがあります。
フランスではこれを「アグリツーリズム(農村観光:都市居住者などが農場や農村を訪れ、休暇・余暇を過ごすこと)」の一環、農村の本来の良さを保ちながら、農家や地域経済を豊かにする重要な手段とし、農家による観光事業サービスの充実と多様化を図っています。その中に直売所、加工品販売、農家レストラン、料理教室、農業体験、宿泊などの業態があります。フランスのアグリツーリズムはヨーロッパでもっとも発達していると言われています。

●上野:そんな団体があるとは、さすがは農業国フランス! フランス版6次産業化ですね。アグリツーリズムは、日本ではグリーンツーリズムという名称(正確には「農村漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」)で1990年代に取り入れられたけどあまり普及しなかった。農村に旅行客を迎え入れる、農業と観光を結びつけるのは、今の日本ならアリだと思ってます。何と言っても、食は旅の最大の楽しみの一つだもの。

◇幸せが農業の未来に繋がる 

●上野:ところで、花茶は農園やレストランだけではなく、動物と触れられるスペースもあります。

★一咲:花壇や芝などもきれいに手入れされています。ここは、農業や食を通して訪れる人がみんな楽しめて幸せになれる場として、よく考えられていますね。
こういう発想は、いわゆるビジネスのプロでは思いつかない。ビジネス書には出てこない。ビジネスのプロでも考えつかない、農家ならではの発想、視点があるはず。それが花茶成功のポイントにもなっているのでしょう。

●上野:一咲さんから見ると、農業や世界の未来は「みんなが幸せを感じられる」かどうかに懸かっているってことですよね。たしかにこれは大切なポイントだけど、ビジネス書や学術書ではそのニュアンスを上手伝えるのは難しいなぁ。農業の未来を探ると、農作物をより効率よく大量に作ることも重要だけど、それ以上にどう消費してもらうか、農業(生産・加工)以外の発想などのビジネスセンスも必要なんですよね。

★一咲:日々の努力、夢や目標、愛を持つことも。そして農家、あるいは農業という視点からだけで考えようとしないで、もっと幅広い視点を持つことや異業種との交流からも、明るい農業の未来に繋がる手がかりを生み出しそうですね。
ああ〜、ピッツァもアイスクリームもオイシイ!


■花茶農園で採れたアスパラガスを使った本格的なナポリピッツァ。採れたてでしか味わえない野菜のおいしさを感じる


■デザートメニューから。ゆきララ、ハスカップアイスクリームを添えた自家製ガトーショコラ

プロフィール
藤田一咲(ふじた いっさく)
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、パリ、ボルネオ、さらには砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com

写真:ISSAQUE FOUJITA

取材協力:有限会社ファーム花茶 
URL: https://www.kacha-ice.com/

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2023年11月14日号 (通算23-25号)

口福(こうふく)を販売する野菜直売所

*前回に引き続き、今回も「WEB版HALだより」は、HAL財団・上野貴之が聞き手となり、写真家・藤田一咲(いっさく)さんにお話を聞く対談形式でお届けします。

函館朝市を見てから、一咲さんと私は札幌市郊外で開催されている〈ふたりのマルシェ〉に向かった。ふたりのマルシェは、北海道江別市にある農業生産法人 アンビシャスファーム株式会社が5〜10月の期間、週末限定で開催する野菜の直売所。販売されている野菜は、自分たちが丹精込めて育てたもの。
一咲さんはどういう風に見て、何を感じるのだろう?

◇1軒だけの日本型マルシェ

●上野:一咲さん、こういう野菜の直売所がひとつだけでは、マルシェとは呼べないでしょうか?

★一咲:本来のマルシェ=(いくつものお店からなる)市場の意味ですから、ちょっと違うのでしょうが、ここは日本、日本風でアリでしょう。名前もマルシェではなく〈ふたりの「野菜直売所」〉では、お客さんも来てくれそうにないですし。
そういう意味では、まずネーミングで成功していますね。野菜直売所にオシャレな名前が付いている。そんな発想が新鮮でいいですね! 名前を聞いただけで行ってみたくなる。それにしても、朝早くからたくさんの人が開店を待っていますね。


■ブランドカラーの黄色い屋根が目を引くふたりのマルシェの店頭風景。楽しく会話しながら買い物する人たち。スタッフのユニフォームもオシャレ

●上野:そうなんです。ここで販売されている野菜は、見ても綺麗だし、食べても当然美味しい。開店と同時にほとんど売り切れてしまう人気のお店なんです。

★一咲:わかりますよ、それ。日本国内でも道の駅などかなりの数の野菜直売所があると思いますが、ここのようなお店はほとんどないのでは?野菜たちが幸せいっぱいな顔をしている。ぼくは野菜のことは何もわからないのですが、ここに並んでいる野菜のように色が濃く鮮やかで、みずみずしくハリやツヤがあり、いい香りがするのは、新鮮なのはもちろん、太陽の光を十分に浴び、土の状態もよく、大切に美味しく育てられてきたのでしょう。きっと栄養素も高濃度でギュッと詰まっている。
紙袋に入れられていたり、英字新聞に包まれたりして並んでいるのも、すごくオシャレで購買意欲が刺激されます。ここの野菜を写真に撮って写真集にしたいくらいです。

●上野:お店に名前を付けて、ロゴもオシャレにして、いつも黄色いテントの下で開催する。販売方法も独特。お店のブランド化、野菜以外のものに付加価値をつけて、他との差別化をはかり、収益をあげる。これからの農業に大切なポイントだなあ。

★一咲:それも、まず販売する商品(野菜)の質の高さがあってからこそですね。それにしても、こんな野菜を口にしたら、ものすごく幸せな気持ちになれそうです。日々の食事にも彩りが加わって、豊かな気分にさせてくれるに違いない。食卓を囲む家族の顔も思わずほころび、会話も自然と弾みますね。


■その日の朝の採れたて野菜。野菜のみずみずしさや鮮やかな色に感動を覚える。
同じレタス類でも、さまざまな種類のものが並んでいる


■英字新聞に包まれたカボチャがオシャレ。野菜に付加価値が加わり、購買意欲が刺激される

◇土づくりからの創意工夫

●上野:ね、ここの野菜は違うでしょう? ふたりのマルシェでは、販売方法だけではなく、野菜づくりの基本、土づくりから取り組んでいますから。そして今朝の採れたて野菜が並んでいるのですから。
ジャガイモやトウモロコシなどの地元で元々採れる野菜の他に、色や味、香りにこだわるレストランが使うような野菜も多く育てて販売しています。
季節によって販売される野菜は変わりますが、その数は1年間で約100品種以上。見た目がいいだけではなく、野菜本来のしっかりした味がしますよ。パリのマルシェの野菜とは違いますか?

★一咲:そうですね。地産地消という言葉がありますが、地元で採れる昔ながらの野菜だけを販売しても、大きな利益は得られないでしょうしね。市場では見かけないような野菜を販売するのは、買い求める側にとっては選択肢も、新しい食体験も増えて嬉しい。 パリのマルシェでもこんなに綺麗で質の高い野菜が並ぶお店はないと思います。
パリというかフランス人は結構合理的に物を考えるので、あまり見てくれにこだわりません。とくに一般市民は、野菜は美味しく口に入ればいい、みたいなところがあると思うので、少しくらい傷んでいたり、野菜本来の自然な、不揃いな形のものが売られていても気にしません。オシャレに梱包して販売することにも合理性は見出さない気がします。美味しいという評価があれば、みんな黙っていても買いますし、包み紙にお金を使うならその分を安くして、と言いそうです。


■店頭には普段見かけない野菜も。さまざまな視覚的工夫が嫌みなく施され、特別なお店に買い物に来た気分にさせてくれる

●上野:外国ではそうかもしれませんね。マルシェは特別なお店ではないようですから。

★一咲:日本では差別化という意味で、こういうネーミングや、販売方法などの発想、努力も必要だと思います。スパーマーケットで安く買えるものと同じものだけを売ろうとしても限界はあるでしょう。日本人には「安さが一番」の感覚がありますから、それ以外の価値が直売所には求められる。これだけ多様な品種の野菜を丁寧に育てるだけでも大変なのに、さらにひと手間もコストもかけて、価格を低く抑えて販売する努力には頭が下がります。

●上野:ふたりのマルシェでは、野菜と一緒に小さな黒板にその野菜を使ったおすすめの食べ方を紹介していたり、お店オリジナルのトート(エコ)バッグを持参すると割引もあったりします。

★一咲:値札にも野菜の名前の他に、素敵なキャッチコピーが添えられている。基本的な製品(野菜)作りのほかにも販売にかける日々の想い、努力が素晴らしい。実店舗だけでなく、オンラインのショップもあって、販路もいろいろ工夫されているようです。函館の朝市のように、黙っていても自動的に観光客(お客さん)が運ばれてくるのを待つのとは違う。近所とか地元のお客さんが、毎度のように来てくれることで成り立っている。そんなお客さんとの繋がりをとても大切にしている。地域に根ざしたお店なんですね。


■お店のオリジナルトート(エコ)バッグ。オシャレで実用的。このバッグを持参すると割引がある


■紙袋に入れられた野菜。ここではプラスチック製の袋や食品用ラップが使われていないのも特徴的。値札にはおすすめの調理法も添えられている。消費者や環境に嬉しい心配り

◇人と人、個性と多様性が繋ぐ未来

●上野:パリのマルシェと何か共通するものはありますか?

★一咲:決まった曜日、決まった時間、場所で定期的にお店が開くのは、パリのマルシェと同じ。お客さんもしっかり定着しているようですね。また商品に対する生産者の想いが、ストレートに伝わってくるのも共通しています。日本では生産者が直接商品を販売することは、商習慣上あまりないようですから。
美味しいものを作る、買ってもらうのは当たり前ですが、そこから先の想いが伝わってきます。うちの野菜を口にすることでみんなの幸せにつながって欲しい、というような素敵な想いが。それは接客にも表れていますね。ふたりのマルシェに来るお客さんを見ていると、みなさん楽しそうだし、お店のスタッフとも一言二言、会話しています。パリのマルシェもそうですが、お客さんとのコミュニケーションがここにはあります。ここで得られるのは売られているモノだけではない、人と人の交流や繋がり、そこから来るお金では買えない豊かな感情なんですね。

●上野:それが商品とともにお店の魅力になって、集客力を底上げし売り上げを向上させている。こういう「人間力」みたいなものは、やろうとして簡単にできることではないけどね。

★一咲:ちなみに今分かったことは、ふたりのマルシェとは、ふたりでやっているお店という意味ではなく、あなた(消費者)と私(生産者)だったんですね。ここは野菜を通して、人(消費者)と人(生産者)との繋がりを大切にしていることがよくわかります。

●上野:一般的な直売所の良さは、生産者の顔が見える、話ができるから消費者に安心感や信頼感が生まれる。生産者も直接消費者と交流することで、そこに人(消費者)がいることを実感する。仕事にもやりがいが生まれる。より良い商品が作られるようになる点。
大切なのはここから先。人と人のコミュニケーション、繋がりが癒しや創造を生む。するとモノの販売や、売上だけを考えなくなる。消費者が商品を目にする、手に取る、口にすることで生まれる感情まで考えるようになる。(それはいわゆる商習慣上でよく言われる顧客視線の範囲を超えているのだろうけれど)。そして個性的な直売所が生まれる。
このような個性的な野菜直売所の運営には、生産者としては野菜づくり以外のスキルやセンスが必要になってくる。でも、日々欠かすことのできない食から人びとを幸せにするから、小さい農業かもしれないけれど、野菜の消費量を増やし、農業の多様性、活性化に繋がっていく。それは地域の未来も大きく変えるかもしれない。これからの農業を考える時、個性と多様性はキーワードになるだろう。

★一咲:普段口にはしているけれど、とくに意識したことのない野菜(ごめんなさい、農家のみなさん)。ここの野菜を子どもたちや若者たちが見たり口にすると、子どもたちや若者たちも野菜に興味を持ち、野菜づくり(農業)をやってみたくなりそう。農業が魅力的な仕事になる。

●上野:ふたりのマルシェでは、農業を身近に感じられる農作業の体験もできます。

★一咲:人と人だけではなく、人と農業の繋がりも大切にしているんですね。何だか夢がある。夢のあるお店は、未来の農業の入り口にもなりそうですね。

プロフィール
藤田一咲(ふじた いっさく)
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、パリ、ボルネオ、さらには砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com

写真:ISSAQUE FOUJITA

取材協力:Ambitious Farm株式会社 https://ambitious-farm.co.jp

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2023年11月7日号(通算23-24号)

パリのマルシェと函館の朝市から思うこと

*今回の「WEB版HALだより」は、HAL財団・上野貴之が聞き手となり、写真家・藤田一咲(いっさく)さんにお話を聞く対談形式でお届けします。

◇パリのマルシェと日本のマルシェ

●上野:最近、とくに観光地でよく目にするマルシェという言葉ですが、マルシェというのは元々「市場」を意味するフランス語なんですね。世界中を旅し、パリにも住んでいたことがある写真家、一咲さんから見ると、日本のマルシェとパリのマルシェの違いは何ですか?

★一咲:今、上野さんが言われたように、日本ではマルシェというのは、観光地やイベント会場などに見られるような、「特別な売り場」という印象があります。市場とは言わず、わざわざマルシェとネーミングをして従来の市場とは差別化を図っているわけですから当然かもしれませんが。特別だから、普通の買い物に行くような市場では買えないようなものが並んでいたりする。パリのマルシェと比べると、ある意味、特殊な光景、市場のあり方ですね。それにしても、ここには朝市特有の賑わいがないというか、活気がありませんね。

■函館朝市。立派な商業施設に入っている店。北海道ならではの、カニやサケなどの海産物、野菜、果物、珍味加工品などが売られている。

■函館朝市。写真で商品を見せるお店。パリのマルシェでは見かけることはない。

■函館朝市。商品は綺麗に並べられたり、袋に入れられたり、ラップがけされたものも。日本のお店では普通に見られる光景だが、パリのマルシェではこれも見かけない。

◇パリのマルシェ

●上野:え? それではパリのマルシェはどういうところにあって、何が売られているのですか?

★一咲:パリは20区からなりますが、マルシェの数は、切手や古書、アンティーク、植物などを専門的に扱う専門市場やフリーマーケットを含めた総数では約90、今回のテーマのように食品を中心に扱う市場は約70以上あり、大きく分けて屋内型、屋外型の2つの市場があります。定期的に開催されるマルシェと、不定期に開催されるマルシェがあって、屋根のある屋内型のマルシェは通常火曜~土曜まで、1日中営業していて、日曜は午前中までで、月曜はお休みです。多くの日本人がイメージするのは、屋外型マルシェでしょう。その多くは平日に2〜3日程度、週末は土曜日に、朝7時ごろから午後3時ごろまで開いています。最近は市民の生活習慣が多様化しているのに合わせて、午後も開く市場もあります。地下鉄駅の周辺や、大通り沿いや、公園沿いなど人の多く集まりやすいところに、小さな簡易的なテントをいくつも連ねて建てて開催されます。テントや商品台などはパリ市が提供するもので統一されています。市場が終わると、テントなどは撤去されます。地方でも常設のマルシェや、教会前などでの青空マルシェがあります。

それぞれの場所のマルシェによって、売られているものや、価格などが変わってきます。実は雰囲気も違うので、それもマルシェの魅力の一つになっています。

どこのマルシェでも採れたての新鮮な野菜や魚介類、肉、果物などの生鮮食品はもちろん、パンやチーズ、スパイス、ワイン、お惣菜、蜂蜜、お菓子などから、生花や靴下や、下着、季節に合わせた服、アクセサリーなどの衣料品、ハンドメイドの雑貨、石鹸、本やアンティーク、アート作品などありとあらゆる日常の生活に必要なものは何でも売られています。最近はオーガニック専門のお店も。ただ高級ブランド品はありません。特殊市場というのは、切手や植物などを専門的に扱う市場です。実はこのような市場は、パリに限ったことではなく、世界中の市場はこんな感じです。マルシェは特別なものを扱う場所ではなく、ごくごく普通の、日常的に見られる生活の場なのです。

■パリのマルシェ。魚が普通に無造作に並べられてある

■パリのマルシェ。野菜は輪ゴムやヒモで簡単に結んでいるだけ

■パリのマルシェ。こちらは、大きなマルシェにあったチーズ専門の店。チーズはほとんどが量り売り。少量でも買うことができる。冷蔵設備や商品台はパリ市から認められたマルシェ管理者が用意したもの。毎朝設置され、午後には撤去される

◇観光型朝市と生活型市場

●上野:日本のマルシェと本家のマルシェはだいぶ違いますね。日本のマルシェは、商店がお店を公園や大型商業施設のイベントスペースに出し、週末や祝日に開催されることが多く、特別に行こうと思って買い物に行く、非日常的な体験を求めるような場所になっている。いわゆるマーケットに近い感覚かな。函館の朝市のような観光客相手の市場はマルシェではないのですね?

★一咲:函館の朝市は、日本の伝統的な朝市とも、地方ならではの雰囲気が味わえる朝市とも異なる、言うならば観光地型朝市。いわゆる生活型市場(朝市)である本来のマルシェ=市場のあり方とは違うように思います。だいたい、商店が小売店として多く出店している函館の朝市とは違い、パリのマルシェは農家などの生産者が中心になった個人のお店です。

■函館朝市。一軒家のお店がいくつも連なるのも函館朝市の特徴。歩いていると、ご近所さん相手の会話よりも、「お客さん、何かお探しですか?」という観光客相手の店主の呼び声があちらこちらから聞こえる

■函館朝市の風景。その場で食べられるところもある。パリのマルシェは食べ歩きはできるが、食堂や飲食コーナーはない

◇市場の活性化と農業の未来

●上野:函館の朝市も、今では駅前に位置する立派な建物の中にあり、観光客を目当てに営業している常設市場ですが、歴史的に見ると、終戦直後、近くの農家が道路や空き地など青空の下で立ち売りを始めたのが始まり。かつては近所の人が買い物に来ていたのでしょう。

★一咲:パリのマルシェでも観光客向けの商品を並べた店もありますし、今では観光客に人気のスポットになっています。でも、基本的には近所の人たちが、買い物カゴを手にしたり、ショッピングカートを押しながらやってきて、言葉を交わしながら楽しく買い物するところなんです。近所の人が来る、近所の人を相手にするから商売が成り立つ。となると、マルシェも自然に活気が溢れる。そんなパリの人々の生活の一部が見られるから、旅行客にも人気が出るわけなんです。売っているものだけに引かれて、ご近所さんや観光客が来るわけではないのです。

■パリのマルシェ。近所の方だろうか、ショッピングバッグ持参のご婦人。ご近所の方の買い物だろうか果物は薄い紙袋に入れてくれることも

●上野:なるほど、パリのマルシェは、地域の人々の生活を支え、コミュニケーションや憩いの場にもなっているから活気に溢れ、それぞれの地区の経済に大きく貢献しているようですね。函館の朝市のように、その時その時にしかやってこない観光客相手では、本来の市場とは言えないし、商品も競争がないから価格は(高めで)見直されず、いつも同じものが並び、品質も向上しない。買い手との会話もないから、活気も楽しさもない。価格は高くなり、近所の人の足は遠ざかる。近所の人とは消費者ということ。常に来てくれる消費者がいなければ、事業は成り立たない。駅前にあって、観光スポットにも指定されていると、客はたとえば電車や、大型観光バスで自動的に運ばれて来ると思っているような甘えもあるんだろうなあ。ここのところ、函館朝市が寂しいと感じるのはそんな理由もありそうだ。どんなビジネスでも大切なポイント、「顧客の視点」がマヒしているのかも。

★一咲:観光型朝市(市場)には、地域の資源としての食材、郷土料理などの食の発見、再発見の場としての魅力があると思います。日本各地の朝市(昼市、夕市、夜市、週末だけ開かれる土曜市、日曜市も含め)には、相手だけではなく近所の人も通うところもまだまだあると思います。

●上野:マルシェ=市場のあり方を考える時に、ネーミング負けしない基本的なベースの考え方は、パリのマルシェからも学べることは多そうですね。

★一咲:市場は地域の健康状態を見るバロメーター的存在です。どのような形態であれ、元気な市場は地域の経済を盛り上げます。市場を元気にすることは、それが結局、北海道農業の活気にも、未来にもつながるように思います。上野さんにここに連れられて来た時、実は北海道農業とマルシェの関係がよくわからなかったのですが、今になってようやく分かりました(笑)。

藤田一咲(ふじた いっさく)
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、パリ、ボルネオなどの世界の都市から、さらには熱帯雨林、砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com

写真:ISSAQUE FOUJITA

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2023年10月31日号(通算23-23号)

<乞うご期待!>
パリのマルシェから見た北海道農業との関わりの未来形

 写真家の藤田一咲(いっさく)さんにダメ元で「原稿書いていただけませんか?」と厚かましくもお願いしたところ、WEB版HALだよりにご寄稿いただきました。

 藤田一咲さん(敬愛の念を込めて以下一咲さん)は、数多くの写真集や写真関係の技法書のほか、軽妙な文章のエッセイ本などの著書があり数多くのファンを持つスーパー写真家です。今回は、その一咲さんのお便りにしたためられた文章をそのまま拝借し、次号からの3回に渡って「藤田一咲特別寄稿」を掲載いたします。

 それでは、「乞うご期待号」として一咲さんのこの企画に対する思いをここに掲載します。

(HAL財団 企画広報室 上野貴之)

■ HAL財団の上野さんから、農業に関する視点を多様な方向から探りたいので、ついてはWEB版HALだよりに世界を旅するカメラマンの視点で「世界各地の市場や朝市から見た北海道の農業に関わる未来の形や可能性」、というテーマで語って欲しい、とメチャクチャ斬新な原稿依頼がありました。
な、なぜ、農業専門ではないぼくに? という気持ちは少なからずありました。が、それはおそらくぼくがアジアやアフリカ、ヨーロッパやアメリカなどの色々な国々、さまざまな文化圏、都市も田舎も、緑や水の豊かな地域から、土地も空気も乾き切った砂漠や高地・高山、また海に囲まれた島々まで旅して写真を撮っていることから今回の依頼になったのでしょう。

■ 世界各地の市場や朝市から、とひと口に言っても範囲が広すぎる。そこで最近、よく耳や目にすることが多くなった「マルシェ(フランス語で市場の意味)」、つまりパリの市場からの視点で、北海道の農業の未来に繋がりそうなヒントを探って行くことにしましょう。
「それではさっそく函館の朝市へ!」と担当の上野さん。函館の朝市をひと通り見たところで、上野さんは今度はぼくを次の取材先として札幌郊外の〈ふたりのマルシェ〉、続いて千歳市の〈花茶(かちゃ)〉へと連れて行ってくれました。これらの取材先が果たして今回のテーマである「北海道の農業の未来」とどう繋がっていくのでしょうか。

文:藤田一咲

さ~て、どう繋がっていくのでしょう。
戸惑いながらも、文章を引き受けてくれた一咲さん。もちろん、写真撮影もお願いしています。こちらもお楽しみに!

(函館朝市を撮影中の一咲さん(グリーンのズボンの人)

(開店準備の「ふたりのマルシェ」を撮影)

(千歳市「花茶」でイチゴの撮影中)

写真:HAL財団

来週は「パリのマルシェと函館の朝市から思うこと」を掲載します。
ご期待ください!

 

藤田一咲(ふじた いっさく)さんのご紹介
年齢非公開。ローマ字表記では「ISSAQUE FOUJITA」。
風景写真、人物写真、動物写真、コマーシャルフォトとオールマイティな写真家。
脱力写真家との肩書もあるが、力を抜いて写真を楽しもうという趣旨。
日本国内は当然、パリ、ボルネオ、さらには砂漠まで撮影に赴く行動派写真家。
公式サイト:https//issaque.com

主な写真集
『Two Hearts』 シティ出版・1989年
『Toujours』 マガジンハウス・1990年
『petit graff 巴里の落書き』 PARCO出版・1993年
『パリ散歩の時間』 エイ出版社<エイ文庫>・2004年
『気まぐれカメラBOOK』 玄光社・2007年
『ぼくとライカの旅 パリ・ヴェネチア編』 エイ出版社・2008年
『PARIS PARIS』光村推古書院・2018年
など多数。

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2023年10月24日号(通算23-22号)

もち米の里ふうれん特産館、ノースプレインファーム、滝上町を訪問しました。

2023年10月17日からHAL財団理事長、常務理事が名寄市風連の「もち米の里ふうれん特産館」、興部町の「ノースプレインファーム」、そして滝上町を訪問しました。

「もち米の里ふうれん特産館」も「ノースプレインファーム」も第1回HAL農業賞を受賞した企業。HAL財団とは長いお付き合いになります。
堀江社長、大黒社長と久しぶりにお会いし、今現在も新しい挑戦していることを伺い、話が弾みました。

また、10月18日に訪問した滝上町では、清原町長、井上副町長、さらに奥田教育長など町幹部のみなさんにHAL財団が進めている事業の説明をし、今後も情報交換や具体的な事業を行う方向性を確認できました。

 (HAL財団 上野 貴之)

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2023年10月10日号(通算23-21号)

アンビシャスファーム×どんぐり
収穫体験とパンづくり

2023年9月3日、江別市のアンビシャスファームで行われた、パン屋のどんぐりとアンビシャスファームのコラボイベントに参加してきました。
今年で3回目のアンビシャスファームの収穫体験×どんぐりのカレーパン作り。昨年も参加して、非常に楽しい、そして美味しいイベントでしたので、今年もワクワクしながら江別まで向かいました。

参加するみなさんで自己紹介をしたら、早速、野菜の収穫に畑へ。とても気持ちのいい空です。

まずは、トウモロコシ。自分たちでもいで、そのままガブリ。採れたてのトウモロコシは、みずみずしくジューシーで、甘い!是非とも、もぎたてガブリを味わってもらいたいです。

次は、ニンジンとジャガイモ掘りへ。カラフルなニンジンやルビーレッドなどを掘り起こすのが楽しく、一心不乱に掘り起こします。

そして、今度はどんぐりのカレーパン作りです。既に、パン生地も中のタネも、どんぐりさんで作って

いただいているので、パン生地を自分たちで延ばし、タネを入れて包むだけ!しかし、この包むという作業もなかなかに大変なのです。いつも美味しくいただいているカレーパンが、いかに手間がかかっているのかを実感します。

カレーパンの他にも、パテとアンビシャスファームの野菜をお好みで挟んでつくるハンバーガーや、採れたてジャガイモで揚げるポテトフライなど、盛りだくさんです。

アンビシャスファームの採れたてお野菜は、毎年5月~10月の週末に行われる、ふたりのマルシェで買うことができます。毎週土曜日は、江別のお花屋さんモンシュシュ前で、毎週日曜日は、どんぐり大麻店前で開催されています。ぜひ、採れたてお野菜を目でも舌でも楽しんでください。

※土曜日のマルシェは、朝9時から12時まで。日曜日のマルシェは、朝9時から13時まで。お休みの日もありますので、最新情報はチェックしてください。

※前日午前中までに連絡すれば、野菜セットのほか希望の野菜のお取り置きもしてくれます。

アンビシャスファーム  https://ambitious-farm.co.jp/

ふたりのマルシェ     https://futarino-marche.jp/

 (HAL財団 山 京)

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2023年10月3日号(通算23-20号)

エア・ウォーター「ふるさと応援H(英知)プログラム」 記者会見に磯田理事長が出席

エア・ウォーター北海道株式会社は、道内179市町村を対象とする寄付支援制度「ふるさとH(英知)プログラム」を創設しました。この事業にはHAL財団理事長磯田憲一がアドバイザーの形で参加しており、9月29日(金)に北海道庁2階官民交流サロン コネクト(CONNECT)で開かれたプレスリリース記者会見に同席しました。

 なお、記者会見の該当部分はHAL財団公式Youtubeで公開しております。
  (HAL財団 上野 貴之)

Youtube: https://youtu.be/wk34cCT2c8A

ふるさと応援Hプログラム専用サイトは、こちら⇒ https://airwater-hprogram.jp/

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2023年9月5日号(通算23-18号)

さとらんど「丘珠まるしぇ」に行ってみた

 札幌市東区にある「サッポロさとらんど」にて、2023年8月26日(土)~9月30日(土)の毎週土曜日に、新しい体験型ファーマーズマーケット「丘珠まるしぇ~Sapporo Farmers Market POROKET~」が開催されることとなり、体験ツアーにお誘いいただいたので参加してきました。

 「丘珠まるしぇ」では採れたて野菜を購入し、その場で自ら調理して新鮮なまま食べることができる「BBQコーナー」と、一流シェフが調理した朝採れ野菜を楽しめる「シェフコーナー」が体験できます。

 「BBQコーナー」は、園内の「さとらんど交流館」前に設置。プレートや串などのBBQセットを購入したら、まずは、農家さんの野菜を選びます。いくつかの農家さんがお店を出しており、夏野菜がずらりと並び、目移りしてしまいます。今回は、とうもろこし、トマト、ズッキーニ、ナス、玉ねぎを購入しました。なお、「さとらんど交流館」内で、お肉を購入して焼くことも可能です。

採れたての野菜を焼いて、その場で食べると、素材そのものの美味しさを感じることができ、調味料などなくても、美味しくいただけました。普段、あまり野菜を食べない小学生の息子も「玉ねぎが甘い!」とそのまま食べ尽くしていました。

 次に、「シェフコーナー」は、「さとらんどセンター」2階テラスにて体験できます。ポプラ並木や小川が流れる広大な風景とともに、一流シェフのブランチを楽しむことができます。

 「シェフコーナー」では、毎回異なるシェフが腕をふるって、朝採れ野菜を中心に様々な食を提供してくれます。休日のブランチに、足を伸ばしたくなりました。

 札幌中心部から車で30分で行ける「さとらんど」は、大都市にいながら自然との調和を楽しめる場所となっています。畑がある広大な敷地で、生産者とのふれあいも楽しみながら、採れたての農産物を色々な形で楽しむことができる新しいファーマーズマーケット。

 

今後は、地元の方々はもちろんのこと、丘珠空港に近いアクセスも生かして、飛行機が到着してそのまま「さとらんど」で観光客にモーニングを楽しんでもらう、そんな楽しみ方も期待されています。9月末までの毎週土曜日に開催される「丘珠まるしぇ」、一度体験してみてください!

※「BBQコーナー」は、9月末までの毎週土曜日、10:00~14:00開催、1セット1,000円(税込)です。予約は不要で、当日受付。
※「シェフコーナー」は、9/9、9/16、9/30の10:00~11:30開催。お1人様3,000円(税込)です。事前予約制となっており、前日16時までに申し込みが必要。

(HAL財団 山 京)

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