
2025年6月24日号(通算25-06号)
農の先にある仕事
農業の関連事業と訊かれると、食品(加工食品)であったり、いわゆる六次化のファームレストラン、加工品、ファームインなど農産物を利用したものをイメージするだろう。今回、取り上げるのは「羊毛」だ。羊毛も農業関連産業なのだと気づかされる作業を見学した。
大型連休と言っても肌寒い4月27日に当別町のファームエイジ敷地内で行われたのが、羊毛を作る第一歩の作業だ。
「松尾めん羊牧場の羊の毛を刈り、綺麗にする作業があるので見学に来ませんか?」と、テキスタイル作家の下村好子さんからお誘いがあったのは4月中旬のこと。普段、農業の六次化や加工品、経営のことを調査、取材しているが、「羊毛」も農業の関連産業であることに改めて気づき、これは行くしかないとカメラを持って訪問した。
松尾めん羊牧場(農業生産法人 株式会社松尾めん羊牧場)は、松尾という名前を聞くと北海道の人にはあまりに身近な松尾ジンギスカン(株式会社マツオ)の関連会社で滝川市に7.5haを超える放牧地を持ち、200頭余りのサフォーク種を育てている牧場だ。北海道に住む人にとってはソウルフードの一つであるジンギスカン。事実、(株)マツオは、2016年に「ジンギスカン料理が道民のソウルフードになることに貢献」として、北海道新聞文化賞を受賞しているのである。(第70回(2016年)北海道新聞文化賞【経済部門】)。
今回は、その羊の毛をスカーディングする作業だ。そもそも、羊の毛がどのように毛糸になっていくのかも知らない私は、声をかけてくれた下村さんにその手順を伺った。ざっとこんな流れになるそうだ。
①羊の毛を刈る(時々、ニュース映像などで流れる、電動バリカンで刈る)
これは、当日の午前中に滝川市の松尾めん羊牧場で実施。
②羊毛に至るには、まずはスカーディングというゴミを取り除く作業。
③ゴミを取り除いた羊の毛を洗浄する
④干す
⑤紡ぐ
⑥撚りをかける → 撚りを止める
今回、時間の関係で私が参加したのは、この②の部分である。
10頭分の羊の毛は、このように空き袋を活用し、乗用車で運ばれてきた。



この汚れた部分を手作業で取り除く。これがスカーディング作業だ。

作業の準備を進める下村さん。

ひたすら手作業で汚れた部分を取り除く。

なぜか、羊の毛は「優しい会話」を呼ぶようだ。

一緒にこの作業を行ったのは、ボランティアの方々だ。
当日は、風が強く気温も10℃ほどと肌寒い。しかし、みんな笑顔になっている。
札幌から参加した山本さんは、手作りのモノが好きだということで、この作業に参加するのは2回目。また、店舗デザインなどを手掛ける浜尾さん、そして鈴井さんはご家族での参加。そして、記録写真を撮影していたカメラマンの中嶋さんまでも参加。みんなでワイワイ話をしながらの作業は寒さを忘れさせるものだった。
この後、多くの工程を経て、この羊の毛はどうなるのだろう?
下村さんによると、タペストリーになるらしい。そして、その秘密はここに参加している人が店舗デザインを手掛けている会社の人ということもあるようだ。
(取材・記事:企画室 上野)
取材協力
下村好子さんURL: https://webkoko.com
株式会社ワークスワーク URL:https://worksworks.jp
ファームエイジ株式会社 URL:https://farmage.co.jp
株式会社マツオ URL:https://corp.matsuo1956.jp
農業生産法人 株式会社松尾めん羊牧場 URL: https://www.matsuo-sheep-farm.jp